「あれ、雪が降ってきましたね」
空から降ってくる雪に驚き、咲は立ち止まる。
それから空を仰ぎ、頭上に広がる青空に首を傾げる。
「・・・晴れてる」
「風花ですか。珍しいですね」
かざはな?と咲は隣で同じく立ち止まった石神に尋ねる。
「山などに積もった雪が風で飛ばされて小雪がちらつく現象のことを言うんです」
石神の説明に手を鳴らしそうなんですか!と嬉しそうに咲は返す。
「随分嬉しそうですね」
「だってこれって珍しいんですよね?石神さんと見られてよかったなーって思ったんです」
ニコニコと笑いながら咲は両手で包み込むように石神の手を握る。
「咲さんは本当に面白い人ですね」
「何ですかそれ!」
けれど、優しく微笑んでいるのを見て咲は更に嬉しそうな顔になる。
晴天の空から降ってくる雪を見ながら咲はゆっくりと歩き出す。
手は繋いだままなので、石神もそれに着いていくような形で歩を進める。
「わたしは」
言いながら、空いた右手で雪を受け止めようとする。
「石神さんと一緒に色んなものを見たいなって思います」
雪は掌に落ちると、熱で溶けて消えていく。
大好きで、大切だから嬉しいや楽しいを共有したいと思う。
許してもらえるのなら悲しいことも共有したい。
(我が儘、かな)
それでもこんな小さな事を共有できたことがとても嬉しい。
「咲」
「はーい?」
思わず口元に笑みが浮かぶ。
こうやって名前を呼ばれるときは完全にプライベートの時だけ。
この時は彼を独り占めできていると思うと、喜びがこみ上げてくる。
「休みが取れたらまた何処かに旅行にでも行くか?」
「いいですねー。今度は何処に行きましょうか」
ふと顔を上げると、石神と目が合う。

「咲と」
「石神さんと」

ほとんど同時に口を開く。
(ちょっと恥ずかしいかも)
赤くなった頬を隠すように右手を頬に当てる。
「咲が行きたい所に連れて行く。咲と居ると何処でも面白いしろいからな」
「面白いってなんですかー」
もう、と口をとがらせるがその表情は何処か楽しそうに見える。
風が通り抜け、キラキラと雪が舞う。
「暖かくなったら、お花を見に行きましょう」

こうして、雪を見た。

「春と言えば桜ですよね!」
そうだな、と石神が微笑む。
「石神さんと一緒だったら、何処でも楽しいです。だからこれからも色んなものを一緒に見ていきたいです」




に舞う雪
(雪の先の季節もずっと)



―――
Q.管理人って雪が好きなんですか。
A.イエス。

レアンドラ様からの156000Hitリクエストで「石神さんと主人公が付き合っている設定での話」と言うことでこんな感じになりました。
寒くて雪降ってもこんな状況だったら寒くなくなりそうだなーとか思いながら書いてました。石神さんって優しいよね。

レアンドラ様のみ保存転載等許可しております。




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