「石神さん!誕生日おめでとうございます!」
作ってみました!と差し出されたプリンに、
「・・・相変わらず咲さんの中では私=プリンなんですね」
と苦笑混じりの石神の声が返される。
「うーん・・・そういう訳じゃないんですけど・・・やっぱり石神さんと仲良くなれたきっかけだから、ですかね?」
首を傾げながら咲は言う。
「それに、北海道の旅行もそうでしたけど・・・石神さんと一緒に食べるのはもっと美味しいです」
ぽんぽんと頭を撫でられ、咲は嬉しそうに笑う。
石神も疲れているだろうと特にどこかに出かけるわけでもなく、咲のアパートでゆったりとしているだけだが、それでも2人きりでいられるというのは嬉しい。
演劇部であったことや学校であったことなどをぽつぽつと話していく。
「あ、そういえば今日はお仕事は大丈夫だったんですか?」
「・・・えぇ。後藤と黒澤に追い出されてしまいましてね。気がつけば休みになっていました」
誕生日を聞いた時に黒澤が「俺が何とかしますから」と言っていたのはどうやらこのことらしい。
「そうだったんですか。えへへ、でも石神さんと2人で居られて、すごく嬉しいです」
はにかみながら言う咲に、石神は溜息を吐く。
「石神さん?」
「あんまり可愛いことを言うんじゃない」
顎に手をかけられたかと思うと、キスをされる。
「・・・っ!」
一瞬で咲の顔が真っ赤に染まる。
「まだ慣れないか?」
「うぅ・・・だって不意打ちなんですもん・・・」
至近距離で見つめ合ったまま、会話が続く。
「・・・それに」
肩を軽く押され、ソファに押し倒される。
「咲は少し無防備すぎるな」
「ふえええ!?いや、あの・・・そんなつもりは・・・!」
突然の出来事に思考がついていかないのか、押し倒された状態のままきょろきょろと視線をさまよわせる。
「こういうことをされても文句が言えないな」
意地悪く笑う石神に、咲の顔が更に赤くなる。
またキスをされそうになり、ぎゅっと目を瞑る。
けれどいつまでたってもその感覚はなく、咲はゆっくりを目を開ける。
すると、石神が微笑を浮かべている。
「・・・からかったんですか?」
むぅ、と口をとがらせる。
「咲はからかうと面白いからな」
「酷いです・・・」
悪かった、と苦笑混じりに謝りながら石神は咲の体を起こす。
「あ、あのですね!石神さん!」
「どうした」
むくれていたかと思うと、真剣な顔で咲は口を開く。
「その・・・誕生日なのにちゃんとしたプレゼントとか用意できなくてごめんなさい・・・。ほんとは、何か買った方がいいのかなとか思ったんですけど・・・」
しゅん、と肩を落とす咲を見て、石神は思わず口元に笑みを浮かべる。
「そんなことか」
「うー・・・わたし結構気にしてるんですよ」
「オレは咲と居られればそれでいい」
その言葉に、咲の顔がパッと輝く。
「石神さん!」
咲が勢いよく石神に抱きつく。
流石に予測が出来なかったのか、多少バランスを崩しつつも石神は咲を抱き留める。
「わたしも!石神さんと居られて嬉しいです!おそろいですね!」
無邪気な笑顔に、思わず笑みが浮かぶ。
「お誕生日、おめでとうございます。これからもよろしくお願いします」

石神の優しい笑顔を見ながら、咲は弾んだ声で言う。



見たいものはひとつだけ
(それは、貴方の笑顔です)




―――
石神さん誕生日当日の話
いちゃいちゃしてるだけです。石神さん可愛いです。
管理人は石神さんの靴底になりたいです




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