早速だが「ブラック本丸」というものをご存じだろうか?
2205年政府が審神者の資格があるものを教育し、本丸へと送り込む。
・・・しかしながらその資格を持つものの中にもゲスな考えを持つ輩は老若男女問わず居るものだ。
例えば暴力。
例えば夜伽。
たらればが尽きないが主立った問題は性暴力を含めた暴力的な問題だ。
審神者の霊力により顕現している刀剣男士たちは主人である審神者に逆らう事が出来ない。しかし稀に、荒御霊となって審神者を殺してしまう刀剣男士も居るものだから困ったものだ。
そういった審神者に対する処置を政府も行っているが追いついていないのが現状。

さて、話は変わるがここにも一人、類い希なる霊力を買われ審神者になった人間が居る。


「グッドモーニング、蜻蛉切!今日も良い朝だよ!結婚しよう!!!」


早朝5時半、聞こえてきた大声に早起き組の刀剣達はまたか・・・と溜息を吐く。
ある意味ここもブラック本丸だ。

審神者の(一部刀剣男士に対する)セクハラが酷い。
何でいないんだよおおおおおおおおおおおお!!という声。どうせまた膝から崩れ落ちているんだろう。
いつもの事。2、3日おきの日常風景。
セクハラさえなければ彼女はとても良い審神者だ。
現世に里帰りすれば現世のお菓子をお土産として大量に買ってきて皆に配り(その後恫喝気味に政府に請求していたが)、家族構成が男兄弟に囲まれた末っ子長女なもので短刀たちをまるで自分の弟のように可愛がって少しでも怪我をしたら即手入れへ(それは他の刀剣に対してもそうだが)。
そこだけ聞けば全く持ってホワイト本丸。ピュアとも言える。

ただし問題なのは審神者の性癖、とも言える好みだった。
美少年より筋肉質な男性が好みだとエロ本よろしく写真集を持ち込んでは取り上げられ。
癒しにとグラビアアイドルの本を持ち込めばにっかり青江に奪われ。
一時期薬研から本気で「大将は女好きなのか?」と聞かれたことがあるが彼女はと言うと「顔の好みなら蜻蛉切が一番かな」と間髪入れずに答えた。
いい人だ、セクハラさえなければ。
「あ、じろちゃんおはよ・・・」
朝から肩を落としどよどよとしめった空気を纏っている審神者に次郎は苦笑を浮かべる。
「蜻蛉切なら鍛錬場に行ったわよ」
「マジか!そっちは盲点だった!5時半ならまだ寝てると思ったのに!あわよくば添い寝とか出来ちゃうかと思ったのに!!!」
ああああああ、と審神者は頭を抱えて膝をつく。
「添い寝ってアンタねぇ・・・何するつもりよ。閨?」
「いやいや、ただただ寝顔を拝見したいだけっすよ姐さん」
清く正しい欲望だよ!と胸を張って言われても説得力はない。
そこで審神者はじっと次郎の顔を見たかと思うと、突如抱き付く。
「じろちゃんも良い体してるよね。今度腹筋さわらs「やーよ」・・・っち」
真顔で舌打ちされ本気だったのかと冷や汗をかく。
男兄弟に囲まれて育ったからか、元々の本人の気質なのか、基本的に異性へのスキンシップを大したものだと思って居ない節がある。
「あ、蜻蛉切ー!おはよーう!!」
近侍の姿を確認し、猛スピードで縁側を駆けていく。その速さと来たら機動オバケと称されている長谷部並だから恐ろしい。
どうなることかと次郎は微笑ましさ半分、恐ろしさ半分で見送った。


「蜻蛉切ー!おはよ!今じろちゃんに聞いたよ。鍛錬場に居たんだってね。朝からご苦労様。結婚しよう」
「主殿おはようございます。貴方をお守りする為鍛練を積むのも武人のつとめですから」
結婚に関しては完全にスルーされた。心の中で舌打ちする。
「えーと、今日は出陣はないけれど遠征はあるからメンバーの確認をしてもらってもいいかな」
「かしこまりました」
蜻蛉切は礼儀正しくお辞儀をして審神者が広げた紙をのぞき込む。

ああ、良い胸筋だな。二の腕も良い。一目惚れだったが近侍に添えてから更に恋に落ちた。
何故プロポーズをスルーされるんだろう。
審神者は真名を刀剣達に教えてはならない。
名を教えると言う事は即ち相手に自分の全ての情報をさらけ出すということだ。
そして真名を教えれば、肉体も精神も神へ捧げる事となり現世へ戻る事も出来なく成る。いわゆる神隠しというものだ。
それでもいいのにな、それくらい蜻蛉切はいい男なのだ。
最初は戦闘狂かと思ったがそんなことはない。いい男だ、とっっっっってもいい男なんだ(大事な事なので三回言ってみた)。
主思いで心優しい人。惚れずにいられるか、無理に決まっている。
「どうされましたか、主殿」
ふっと優しく微笑まれれば胸がキュン、だなんてまるで乙女(笑)だ。
「私の名前h もごっ」
不意打ちで名前を告げようかと思って見たが蜻蛉切に口を塞がれる。
「いけませんぞ、主殿」
そう、微笑まれて・・・

っしゃあ!!!蜻蛉切の笑顔いただきましたああああああああああああああああああ!!
後で部屋にしかけといたカメラ確認すっぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!
しかも蜻蛉切が触ってくれたぞおおおおおおおおおおおおおお!有り難うございます!ご褒美です!!!

ごめんごめんと表面上は謝りながら内心ではカーニバルが開催されていた。
有り難うございます。後で録画を確認しながら写真集作りますね、自分専用の。
っていうか押し入れの中には自分用のアルバムが大量に仕舞われている、むっちゃんの胸筋もいいし、同田貫も凄く良い。しかし逃げられる。
岩ちゃんは普通に触らせてくれるから、今君と一緒にペタペタ触っている。
ギネちゃんは同じ槍グループが蜻蛉切だから並ぶと細く貧弱に見えるがそんなこともない。
脱衣所を覗いた時にきちんと確認したから間違いない。
・・・しかしその後から風呂場に鍵が付けられた。解せぬ。

ああ。蜻蛉切と仕事の話をするのは楽しい。
普段の微笑みもいいが仕事の話をするときのキリッとした表情もそそr じゃなくて萌える。
「・・・どうされましたか、主殿」
うっほう、今の首を傾げたポーズもいいですね。ごちそうさまです。
「ううん。ただ、蜻蛉切にずっと近侍を任せちゃってるでしょ?無理させてないかなって」
たまにはキリッと仕事の話をしてみようじゃないですか。真面目アピール大事ですよ。
「いえ。主殿とこうして働ける事この蜻蛉切何よりも嬉しく感じます」


・・・爆弾だよね。核弾頭だよね。


「・・・笑顔、いい・・・!」
限界は、来てたんだ・・・もう大分ダメだったんだよ・・・。
ふっと、微笑んで・・・鼻血を吹き出して私は倒れた。
今の笑顔は反則っすよ・・・。
「主殿!?主殿しっかりしてください!」
ああ、蜻蛉切が私の顔をのぞき込んでいる。

神様仏様。
私の恋路はどうなるのでしょうか。
現世に遺書を残せと言うなら書きますよ・・・。

そんな事を思いながら・・・私はふうっと意識を手放した。



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