白斗に放課後の予定を尋ねようと2組のドアを開けると、目に飛び込んできたのはクラスの男が彼女に声をかけているところだった。
けれど白斗は音楽を聞いているらしく、声をかけられたことに気づいていないようだった。
視線は手元にある雑誌に向いている。

「白斗」

別に声を張り上げるでもなくいつもの様に彼女を呼ぶと、白斗は顔を上げてこちらを見る。
そこでようやく声をかけられていた事に気づいたようでイヤホンを外しながら用件を聞いている。
だが、俺が出入り口にいるのを見てかそいつは何でもないと言って席に戻っていく。
首を傾げながら白斗がこちらに歩いてくる。
「どうしたの?」
俺の声はちゃんと聞こえていたという優越感のようなものを感じながら、放課後の予定を尋ねる。
「委員会でちょっと呼ばれてるけど・・・でも30分くらいで終わると思うよ」
何かあったっけ?と白斗が首を傾げる。
「いや、白斗がいいなら猫に会いに行かないかと思ったんだ」
猫、と聞いたとたん白斗の顔がパッと輝く。可愛い物好きは、結局隠せていない。
そういう所も白斗らしく、好きだと思う。
「そういや全然会いに行ってないもんね。啓一郎がいいなら私も行きたい」
照れくさそうに笑いながら言う白斗の顔に手を伸ばす。
「っ!?」
「髪の毛、かかってるぞ」
「あ・・・あぁ、ありがと」
目元にかかっていた髪の毛を払うと、とたんに白斗の顔に朱が差す。
・・・本当なら、こんな所でこんなことをするつもりはなかったが、まだ白斗を狙っているヤツは多い。
そのせいか、子供じみた独占欲が沸く。

白斗を信用していないわけじゃない、ただ単純に心配なだけだ。

「なら、放課後迎えに行く」
「え、いいよ。先に行ってなよ」
白斗にだけ聞こえる声で俺が迎えに行きたいんだと言うと、白斗の顔が赤みを増して更に優越感を覚える。

白斗のことになると、どうも冷静になれない。
苦笑しそうになるのを押さえる。
「じゃ、放課後にな」
「お・・・おー・・・分かった・・・!」
白斗が俺に背を向けたのを見てから、クラスの奴らに睨みを入れておく。
顔色が悪いヤツがいるのは見ないことにした。

(啓ちゃん、威嚇しすぎ)

(気のせいだ)

口の動きだけでそう会話して俺は2組を後にした。





気まぐれ猫の愛し方
(白斗ちゃんホント愛されてるよね)(ん?晃なんか言った?)




―――
そういう所ちょっと鈍いヒロインを心配して周囲威嚇しまくってたら萌えるなぁとか考えた結果がこれだよ!
2人きりだと照れまくるのにこういう風に牽制するときは自然に触ってたらいいのに。可愛い。
自覚無しにいちゃいちゃしてればいいのに!萌えるから!

管理人やっぱり水瀬さん大好きです。




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