お気に入りの場所が出来た。
人懐こい白い猫がいる空き地。
学校の帰り道、私は鼻歌を歌いながら空き地に向かう。
久しぶりに機嫌が良い。
「あ、居た!」
白猫を驚かせないようにゆっくり近づくと、猫は私に気づいたのか高い声で鳴きながら足下にすり寄ってくる。
「〜〜〜〜っ!」
思わず口元が緩む。
思いっきり抱きしめて撫で回したい欲求を必死に押さえ、白猫の頭を撫でる。

可愛い。
とても可愛い。

猫は、大好きだ。
小さくて、ふわふわしていて、可愛い。
生えていた猫じゃらしを一本引き抜くと、白猫の目の前で揺らす。
無邪気に追いかける白猫が可愛くて、更に揺らす。

「猫飼いたいなぁ」

卒業して家に帰ったらまた父さんに相談してみようかなぁ、なんて思いながら私は猫じゃらしを揺らした。


――――


三叉路を学校とは別の道に行くと、小さな空き地に出る。
俺がたまに行く整備工場の近くにあるそこには猫が住み着いている。
時々行って餌をあげている内に懐かれたのか俺が顔を出すとそいつが寄ってくるようになった。
元から人に慣れているのもあるのかもしれない。
今日も猫に餌をやろうかと思い空き地に足を向ける。

「猫飼いたいなぁ」

ふと聞こえてきた声に思わず足を止める。
こちらに背を向けて座り込んでいるが、あの銀色の髪は・・・雪崎だ。
雪崎が揺らす猫じゃらしに飛びつく白猫が見える。
一瞬声をかけようかと迷ったが、俺は何も言わずに空き地を後にする。

(アイツも猫が好きなのだろうか)




――――
タイトルは水瀬さんのスチルのタイトルから。
1幕3話と4話の間の話。
ちょこちょこ短編で間補足の話を書きたいです



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