「はぁ」
神蘭寮の食堂で盛大にため息を吐く美朔を見て、夏男は苦笑を口元に浮かべる。
「今度はユキちゃんと何をケンカしたのよ?」
驚いた顔を夏男に向けるとわかりやすいのよ、と言葉が返ってくる。
「・・・だって」
唇を尖らせながら美朔はポツポツと話していく。
「お兄ちゃん過保護過ぎるんだもん・・・。私20歳だよ!?成人式だってやったんだよ!心配しすぎ!」
両肘をテーブルについて頬を膨らませている美朔を見ていると成人しているようには見えないが、それを言うと余計にスネるのが目に見えているので何も言わずに美朔の言葉を聞き続ける。
「で、何かユキちゃんに言ったの?」
う、と美朔が口を噤む。
「・・・って」
小さな声が漏れる。
「え?」
「・・・『お兄ちゃんのバカ!だいっきらい!』って。それでそのまま・・・走って逃げちゃった」
思わず固まる。
何だかんだ言いつつ妹である美朔を可愛がっている由紀の事だ。おそらく今日の2−5は荒れている事だろう。
「あのね、美朔」
叱られた子供のようにしゅんとしている美朔のおでこをつつく。
「ユキちゃんは貴女の事が心配なのよ」
「それは分かってるけど・・・」
自分でも悪いことをしたと思っているのだろう。
語尾が弱い。
「心配してもらえるって、とても嬉しいことだと思わない?」
夏男の言葉に美朔はハッとした顔になり、それから俯く。
「私・・・お兄ちゃんに酷いこと言っちゃった」
「ちゃんと謝ってらっしゃい。大丈夫よ、ユキちゃんは美朔には甘いんだから」
そう言って夏男は美朔の頭を撫でる。
自分も妹のように可愛がっている美朔が落ち込んでいるところはあまり見たくない。
「・・・うん。ありがとう夏男ちゃん。学校終わったころに行ってみるよ」
「そうしなさい。じゃないとみんなが大変なことになるわ」
意味が分からないのか首をかしげる美朔を見て、思わず笑う。
「まぁあの子たちにはいい薬よね」
「・・・お兄ちゃん、もしかしてみんなに酷いことしてるの?」
「ちょっと厳しいだけよ」
それを聞いた美朔がもう・・・とつぶやきを漏らす。
「お兄ちゃんってばいつもそうなんだから・・・」
それでも、その顔は少し吹っ切れたようにも見える。
「講義、午後からなんでしょ?一緒にお昼ご飯食べましょう」
「いいの?やった!夏男ちゃんのご飯美味しいから好きだなー」




サルでもわかる
(それが幸せだってことくらい)


―――
亮お相手で年上ヒロインを考えていたら「冴島先生の妹」というすばらしいオプションがつきました
みんなとわいわいやっていくお話を書いていきたいです。
後冴島先生と梅さんに可愛がられたいです



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