50 振り払う 執筆者:マリエッタ


飯盒炊飯も無事に終わりみんなはまた
 部屋に戻ることにした。

 「なんや今日も何かと疲れたなー」

 「だぁ」

 「ちょっとあんた達いつまで女子の部屋にいるつもりなのよ!」

 柳宿が怒るのは無理もない。
 男子達は自分達の部屋に帰るのが面倒で
 女子部屋でのんびりしている。

 さっさと戻ればいいのにと思っていたら
 星宿に声をかけられた。

 「いいじゃないか別に」

 「そうですね星宿様」

 星宿に言われると何も言えなくなった柳宿はニコニコしながら星宿に話しかけていた。

 みんなが苦笑しているそばでユカが
 カバンの中をあさっている。

 「ユカなに探してんの?」

 「ちょっとね〜」

 するといきなりユカがあったー!!とか言うので周りのみんながびっくりした表情をしている。

 「これで遊ぼうよ」

 そうユカが探していたのはトランプだった。

 「暇だしな」

 「やるか」

 「でもトランプで何する?」

 うん〜とみんなが考え始めると沈黙を破るようにハルが口開いた。

 「うち、じじ抜きしたい気分」

 「どんな気分や」

 「じじ抜きならみんな知ってるよね?」

 ユカがトランプをシャッフルしてさっちーが1枚カードを抜く。

 「自分から時計周りでいい?」

 「なんでユカから始まるのー?まぁいいけど」

 そう言いながらも結局ユカから時計回りに回っていく。

 「やったーあと1枚〜」

 「美朱はやくない?」

 「今日ね占い1位だったんだよーやっぱ今日は運がいい日だー」

 「おわりーー!」

 美朱が最初に終わりだんだん皆が終わりだした。

 「やっと終わったのだー」

 「よかったねー井宿〜」

 最後に残ったのは鬼宿と翼宿だ。
 2分の1でジジが当たる可能性がある。

 次は翼宿が引く番。
 自分の勘を信じて右側のカードを引いた。

 「よっしゃー終わったでーー」

 「負けた・・・」

 ユカと翼宿は抱き合いながら喜んでいるその横では美朱が鬼宿を慰めている。

 「もー静かにしてよ!」

 「ハル何してんの?」

 「見ての通りよ」

 ぱっと見てみるとハルはトランプタワーしていた。

 皆がハルの周りに集まりじーっと見ている。

 「あんた器用ねー」

 「私こんなんできないー」

 「だぁー」

 すると様子を見に来た心宿が部屋に入ってきた。

 「何をしているんだ?」

 「ハルがトランプタワーしよんや」

 「すごいよー」

 心宿はへーと感心しながら皆がいるところで一緒に見ていた。

 マリの服についているゴミが気になった心宿はのけてやろうと手を伸ばすと
 振り払われてしまった。

 「ちょっと触らないでくださいよ!」

 その振り払った心宿の手がトランプタワーにあたり
 今まで積み上げていたものが一瞬にして崩れた。

 「あーーーっ」

 「先生何してくれたんですか」

 「いやーこれにはな訳が・・・」

 「絶対許さない、先生なんかフルボッコにしてやる!」

 そう言うとハルは立ち上がり先生のそばに行く。
 心宿も生徒に殴られては困ると思いその場を逃げる。

 結局心宿は旅館の人に怒られていたのをそばにいたハルはクスクスと笑いながら
 部屋にもどりみんなにその話をしていた。

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