49 信じる 執筆者:ソルト


「したら、井宿は人参さんで」

「じゃ、ウチじゃがいも切るー」


翼宿と井宿とハルとユカたちと役割分担を相談していた。


「洗ってきたよー」

「役割とかもう全部決まったー?」

「まだ、ダマネギが」


水で野菜を洗ってきた星宿とマリが手を振りながらちょうど帰ってきた。
みんな集まると深刻な空気が漂った。
みんなどうぞという目で譲りあいながら目だけで拒否するという会話をしていた。


「はぁー」


痺れをきたした井宿は考えだした。
そして口が開いた。


「先生にやってもらうってのはどうなのだ?」

「それいいね、普通に頼んだんじゃ嫌って言われそうだし誰か甘えながら頼んできてよ」

「あ、俺やるやる、ってかみんなでしようぜ」


嫌々ながらも仕方なく全員ですることになった。
もちろんさっちーも。


「先生ー」

「ちょっとー」ハンッ

「お願いが〜」

「あるんですけどー」


「えっと〜玉ねぎ切ってほしいのだ〜」
(なんでオイラが・・・)


井宿は目をキラキラさせ首をかしげながら言った。

こうなってしまったのは5分前のことだった。
最後はなんかデレた感じにしてほしいなー
とハルがオイラにしてほしいな感じでガン見してきた。


「なんでオイラだけキラキラした目で言わきゃならないのだ」

「だって、つまらないじゃん」テヘッ

「テヘッっじゃないのだ〜」

シャシャシャシャッ
「皆まで〜」



そしてこの状態である。
こんなので先生が切ってくれるはずもないと半ばあきらめ気味な井宿。
しかし、心宿はみんなの様子と井宿の可愛いさにヤられている感じだった。


「うはっ!」


意味のわからない言葉を発してやがる。
しかも男子の可愛さで。
井宿だから仕方ないかもしれないが。

こいつ『絶対変態だ』とみんなおもっている中
ルンルンとマリと星宿のところに玉ねぎを貰い切り始めた。


サクサクッサクッ
意外と手際がいい。
その様子にみんな釘付けになっていた。


「おい、お前らもちゃんとカレー作りの準備をせんか」

「まぁ、見たかったら見てもいいがな」


作業を止めて見ていたせいでみんな怒られてしまった。


「はーい」


返事をしさっさと持ち場に戻ったが先生の顔を見ておどろいた。
ゴーグルを装着して厳重にしていたのに涙が出ていたのだった。

みんなそのことには気づいて笑いたい衝動を抑えながら作業に戻っていった。


「ハンッ」


「そんなところで何してるの?」


ユカが気になって聞くとさっちーは見ているほうを指をさした。


「さっちー、そんな冷たい目で見てしかも指さして笑ったら可哀想だよ」シャシャシャ

「じゃ、記念に写真〜」カシャっ♪

シャシャシャ
「ナイスっ」


そしてこっそり持ち出した先生のカメラをしまった後カレーができていると信じて
持ち場に戻るとカレーができていててお皿につぎ分けられていた。


「いっただっきまーす!」


みんな美味しそうに食べだした。


「俺のカレーの中にりんご入れたんだれやー」

「しかも直で入れおって」


星宿が入れたが翼宿には言わずマリにだけ教えクスクスと笑っていた。

そしてみんな楽しそうにカレーを食べている中、心宿は目を赤くさせながら
カレーを食べていた。

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