42 応える 執筆者:tm
「おぉおお!ユカ、ハル!洞窟がある!」
「ほんとだー!」
「ココペリいるかもよ!」
「ハル、そのネタ分かる人にしか分からないから!」
なんてやりとりをしながらも三人は興味津津に洞窟を覗く。
まだ昼とはいえど洞窟の中はうす暗く、洞窟がどれほど続いているのかは分からない。
ぴちゃん、ぴちゃん、と水滴の落ちる音だけが中を支配していた。
「だっれかいますかー!」
「まっくーろくーろすけでっておいでー!」
「ふぉおおおおおお!」
「ちょ、なんで同じタイミングでいうのー」
洞窟に向かって図ったわけでもないのに同時に叫ぶ三人。
顔を見合わせてあはは、と笑いあう。
「ね、行ってみようよ」
「えー、でも怖くない?」
「せやなあ、でも皆居ったら大丈夫とちゃう?」
「そうなのだあ」
「うむ」
「まあそれはたしか…に…
ってえええ!?」
三人の後ろには三人同様洞窟を覗きこむB組メンバー。
担任の心宿も興味津津といった様子で覗きこんでいる。
「よし、皆私に続け!いくぞ!」
『おーっ!』
「一番かっこいい先生は誰だー!」
『心宿先生だー!』
…とまあ、こういうときだけは一致団結するB組メンバー。
心宿の掛け声に応えるように皆も拳を上げて、洞窟へと進んだ。
「わー、洞窟の中は涼しいね」
「ねー、でも段々暗くなってる」
奥に進むにつれ暗くなる洞窟。
いつの間にかB組生徒は離れぬようにぴったりと固まって行動している。
「いでっ、誰や俺の足踏んだやつ!」
「あ、ごめん自分かも」
「なんやてえ!踏みかえしたる!」
「だ、だぁあ!ハルちゃん、オイラの腰撫でまわさないでくれなのだ!」
「何 故 ば れ た し!」
「ハルちゃんしかいないのだ!」
「此処足場悪いー!、うわああ」
「マリ!仕方がない、私が手を握っておいてやろう」
「え、!やったー!」
「じゃあ星宿様、あたしとも!」
「何よ柳宿パクらないでー!」
「あたしのはオリジナルよ、オリジナル!
あんたは手繋いでるだけでしょ?でも私は腕絡めてるんだから!」
「じゃあ星宿様私と足絡めましょ!」
「いや、そんなドヤ顔で言うことじゃないわよ!」
なんていちゃいちゃしながら奥へと進んでいく。
するとぴたり、いきなり心宿が足を止めた。
そのせいで心宿の後ろに居たユカがどんっと心宿の背中にぶつかる。
「こ、これは…!」
「なんやなんやー?」
「人、骨…!」
心宿がそう言った途端、美朱が悲鳴を上げ逃げ出す。
それに続き、驚き恐怖を煽られた皆も走り始める。
「なーんちゃって!」
そう笑顔で振り返った心宿。
人骨、というのは只皆を驚かすための冗談であり、悲鳴が聞こえたことによりそれは見事成功となった。
種明かしをした心宿、だがそこには誰も居ない。
そんな心宿の心を表す様に冷たい風がひゅう、と吹いた。