41 憂う 執筆者:マリエッタ


準備体操と係員さんの説明も終わり俺が1番に海に入るやーとか言いながら翼宿が走って行く。

 その後ろから全力疾走でハルが追いかける。

 そして翼宿は自分が泳げないことを思い出し、水が膝くらいまでのとこで止まった。

 「わし泳げんかったんやー」

 と言った直後後ろから走って来たハルが激突し翼宿はそのまま海へ。

 「誰か助けてくれーー」

 「翼宿まだ足つくよ?」

 ハルに言われゆっくりと起き上がる。

 「なんやー足つくやないかーってお前がぶつかってくるんが悪いんやーーー!」

 「ごめんなさーい」

 2人が言い合いしている間他の人は影で日焼け止め止めを念入りに塗っている。

 一番塗っているのは星宿だろうか。

 顔が真っ白になるまで塗っている。

 「星宿かなり塗ってるね?」

 「私の綺麗な肌が焼けては困るからな」

 「‥‥そ、うだね」

 日焼け止めも塗り終わりやっとみんなで海に入ることに。
 
 影で座っている心宿が気になりさっちーが声をかける。
 
 「先生は入らないの?」

 「わしはこここでお前らの様子を見ておる」

 「ふーん」

 素っ気ない返事され残念そうにまた椅子に座りなおす心宿。

 でも心宿は生徒のことが心配でじーっとはしていられなかった。

 誰かが溺れてしまったら・・・。

 そんなことはお構いなしにB組の生徒たちは楽しく海で遊んでいる。

 魚を見つけてはしゃいだり、クラゲをつついて遊んだり・・・。

 でも1人楽しんでない生徒もいるみたいだ。

 「翼宿どうしたのだ?」

 「溺れそうで怖いわー」

 「オイラが引っ張っていってあげるのだ!」

 「井宿ーお前はいい奴やのー」

 2人が男の友情に感動している間にみんながぎゃーぎゃー騒いでいる。

 「なんやー」

 「ハリセンボンがいるのー」

 なかなか間近で見れないものにテンションが上がる生徒たち。

 その様子を遠くで見ている心宿もどこか楽しそうだった。

 「みんなで岸まで競争ねー」

 みんなが岸まで泳いで行く翼宿は泳げないため井宿に引っ張って行ってもらっている。

 「よっしゃー1番!」

 1番にたどり着いたのは鬼宿。

 そのあと続々と皆がたどり着き、引っ張られている翼宿も到着した。

 皆が帰ってきたので心宿も生徒たちがいるとこへ向かう。

 「楽しかったか?」

 「楽しかったでー」

 「先生も入ればよかったのにー」

 「ねー」

 先生が生徒と話している間マリと柳宿が心宿の背後の周りに行き何か考えている。

 「先生ーカニがいるよー」

 「どれどれ」

 砂浜に座り込んだ心宿を狙ってマリと柳宿が同時に心宿の背中を押す。

 バッシャーンと大きな音をたてて心宿が海に落ちる。

 「先生もこれで海に入れたね!」

 「お、前らな・・・」

 「いやぁーーーごめんなさいーーー」

 砂浜を逃げ回る2人、それを必死で追いかける心宿。

 でも最後は結局先生に捕まり怒られたマリと柳宿であった。

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