38 気づく 執筆者:マリエッタ


日差しが部屋に差し込み朝を知らせる。

 もう起床時間をすぎているが誰も起きない。

 それはそうだ。昨日あれだけ騒いでいたらか無理はない。

 「‥‥ぅん、もう朝?」

 最初に起きたのがユカ。

 周りを見渡すとみんなまだ寝ている。

 「誰も起きてないからもう1回寝ようかな・・・」

 そう言いながらまた眠りにつこうとした時・・・。

 「おい、お前らいつまで寝ている、早く起きろーー」

 廊下で心宿の叫ぶ声が部屋中に響いた。

 「うるさいなー、もうちょっと寝かせて」

 隣の男子の部屋でも同じような声が聞こえてきた。

 みんな渋々布団からでて身支度を始める。

 さすがに朝は皆テンションが低く部屋も静まりかえっている。

 身支度を済ませ、食堂に行きみんなで朝食。

 眠たそうに皆が口を開く。

 「昨日騒ぎすぎたねー」

 「・・・だぁ。」

 「誰かさんのせいで寝不足だわー」

 「海で寝るなよ」

 「シュノーケリングしながら寝るとか」

 「まず、海入ったら目覚めるだろう」

 「だねー」

 昼からやる海での活動に少しワクワクしながら朝食を済ませた。

 それから部屋に戻りこれからの活動の準備をする。

 「そういやー先生朝食の時居なかったね」

 「そうだねー」

 生徒たちが朝食をとっている間心宿はあるものを探していた。

 気づいたのは生徒を起こして身の回りの片付けをしていた時だ。

 気づくのにそう時間はかからなかった。アヒルさんが1匹足りなかったのだから。

 目に涙を溜めながら必死にアヒルさんをさがす。

 「先生なにしとんや?」

 翼宿に声をかけられびっくりするがほかに頼る人がいなさそうなため
 とりあえず聞いてみることにした。

 「翼宿、アヒルさんが1匹足りないんだが・・・」

 翼宿はそれを聞いて笑いそうだったが必死に笑いをこらえて答える。

 「アヒルさん・・・?」

 「あぁ・・・」

 「そういや‥‥」

 何か思い出したように翼宿は自分のバックの中を探し出す。

 「先生これかー?」

 翼宿が見せたのは心宿が探していたアヒルさんだった。

 あの芝居の後心宿をびっくりさすために1匹だけ隠して置いたのをすっかり忘れていた。

 「よかった、無事で・・・」

 心宿はホッと胸をなでおろした。

 「先生の趣味がわからないのだー」

 その話が隣の女子にも聞こえてたらしく
 みんな腹を抱えて笑っている。

 「アヒルさん探してたんだって」

 「アヒルさんどんだけ大切にしてんのーー」

 女子の部屋には笑い声が響いていた。

 「あんた達いつまで笑ってんの早く準備済ませないさよー」

 「はーい」

 海の活動にワクワクさせながら準備をしていくのであった。

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