*柳生さんはどうして腹黒いのを隠して紳士を貫いているんですか!

「……誰の腹が黒いんでしょうか」
「わお、この似非紳士怖いなり」


質問するなり、柳生さんはにこりと笑いながら私の肩に手を置いた。え、なにこれ逃げられない。っていうかそこのペテン師もケラケラ笑ってないで助けなさいよ。大体、私はなんとなく思ったことを聞いたわけであって、それなのにどうしてこんなに殺されそうなのかな。というか、そういうところが腹黒いところだと思うんだけど。


「何か言いたげなお顔をしていますね」
『ひいっ、え、待ってよ今の顔。見た?ペテン師見た?』
「俺の名前ペテン師ってひどすぎじゃろ」


じとりとした目で見つめてくる仁王君は、教室のイスをぎこぎこしながら私と柳生さんのことを交互に見てまた楽しそうに笑った。どこかの女子が「ニヒルに笑う仁王君素敵」なんて言った声が聞こえたが、一体何が素敵なのか私には分からない。だって、あの男なんかよりもよっぽど。


『よっぽど、柳生さんのほうが素敵なのに』
「……は?」
『え、あ……えっと。うん。えっと。……あは』


すっかり気が緩んでしまった。というか私の口はどんだけチャックが緩いんだろう。嗚呼、あれか。もしかして昨日お口チャックなんていう可愛らしいことをやってのけた何処かの女の子をちょっくら馬鹿にしちゃったからいけなかったんだ。そんなことを考えながら、急に無言になってしまった柳生さんはとりあえず怖いな、なんてことを考えながらどうにかこうにか逃げようとしていると、頬をひっぱる感触。


『いっ、いひゃい』
「……貴女はどうやら黒い私がお好きなようですので」
『そ、そそそ、それとこれとはっ』
「どうして皆さんの前ではニコニコしているのか分かりますか?」


硝子の板の向こうに見える二つの目。キラキラとした虹彩を放つその瞳はその中に今私をうつしている。いつもは、テニスボールや生徒会の資料を写しているであろう瞳が今は私だけを写している。それだけがどうにもこうにもむず痒くて、目線を逸らす一拍前。


「本当の私は貴女が知っていれば十分でしょ?」
『……へ?』
「へ?」
『え、いえ、あの。はいっ』
「よろしい。余計なことは言わなくていいですから」


分かりましたか、と促されてこくこくと頷くとやっと解放された頬。やばい。この人本当に容赦なくつねってくるかと思えば、どことなく加減してくれてたんだ。……まあ、どう考えてもいつもの柳生さんなら女子の頬をつねることなんてないだろうけど。だけどそもそも私だけが知っていれば、なんて言われたらすごく期待をしてしまうんだけど、これはどうとらえればいいんだろうか。必至にあわあわする私を一瞥した柳生さんは物凄く冷めた目で「勘違いするのも大概にしてくださいね」とか言いながらも私の頭を撫でていった。ああ、駄目だ、あの人には到底叶いそうにない。


ーーーーーー

>ゆーと
とりあえず、好きです。
あ、すいません。うん。ゆーと本当にいつもありがとう。アイコンの柳生さん見ると安心している私えへ。
今回真っ黒柳生さんでお送りしてみました。最近やぎゅさん書いてなかったから、すごく誰これ状態になっているし、途中から仁王君が空気だし、やぎゅさんが黒いというかツンデレだし。とりあえず、なんだかすごいですが、ゆーとに対する愛だけはこめたので受け取ってください///
これからもどうぞよろしくね!質問ありがとう!







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