*宍戸さん!!妹さんの彼氏として認めてもいいのは誰ですか!?

あー。……あー……あー、それは……」
『お兄ちゃん?さっきからどうしたの?』
「っ、い、いやっ、なんでもねえよっ」


俺の目の前に居る目に入れても痛くねえだろうってくらい可愛い奴は俺の妹であって、あ? シスコンだ? 勝手に言ってろ。可愛いもんに可愛いって言って何が悪いんだよ。……じゃなくてだな。こいつのことになると俺は本当に駄目だ。これこそ激ださだな。
そもそも、こいつの周りには妙な奴らが多いわけで。まず従兄弟の幸村は、名前に対して邪な感情を抱いているそぶりを見せやがるし。大体あいつ彼女いるだろうが。そうだ、あいつの彼女にしても名前に抱きつくわ結婚する発言するわ、挙句の果てには俺に暴言吐くわ。……あいつら、カップルで俺のこと目の敵にしてやがんのか? というよりもあれだな。名前が愛されてるって考えればいいのか?
まあ、あいつらはまだ許せるとして挙句の果てには彼氏気取りの白石。いや、あいつは正真正銘の彼氏なんだが俺は認めてねえっていうか。……ああ、とにかく変な奴らが多い。いや、多すぎるっていうレベルだろ。いつの間に俺の妹に手を出しやがったあの変態絶頂男め。名前もこいつで、なんでよりによってあいつを好きになったんだよ。いや、誰だったらよかったっていう希望はないんだが。


「お前、さ……あいつと居る時楽しそうだよな」
『あいつ?』
「白石」
『っ、そ、そう、かな……』


あからさまに頬を染め出した名前を見ると、少々どこかの大阪野郎とちょっくら一発テニスで戦ってやりたくもなるが、抑えろ俺。あいつにはどう思われようが知った事ないが、名前に嫌われた瞬間俺の人生が終わる。耐えろ俺。だけど、冷静になって考えると、こいつが幸せそうに笑っていること自体は俺にとってプラス事項であって。


「……まぁ、お前が幸せそうなら、いいか」


結局は、相手なんて誰でもいい。ただ、名前が俺の前よりも安心しきった顔で幸せそうに笑えてたらそれでいい。それが偶然白石であって、それが偶然同じ競技をしてる同い年の男だったってだけで。……いや、結構そこは重大な気もするが。まあ、どちらにしても、妹の幸せを望むのが兄貴ってもんだろ?


「な、名前」
『? お兄ちゃんどうしたの?』


不思議そうに俺を見つめるその丸い瞳の中に、俺がまだ十分に映っているうちは、せめてものあがきのように精一杯こいつを守ってやろう。確かにどこにも嫁がせたくないくらいの情はあるが、俺の身勝手で大切な妹の未来を奪うなんてことは避けたい。然るべき日が来る時はそう遠くないのだから。いつの日か、こいつが今よりももっと大人になって自立するような年になって、俺の知らないところで多くの出会いと別れを繰り返し、傷付きながらも美しく育ち、いつの日かその左指に銀色のワッカを身に付ける日までは。


『お兄ちゃん。私、結婚するね』


花がほころぶような笑みで、純白に身を包みながらそう伝えてくるまでは。兄貴として世界中の誰よりもこいつを愛してやろうと誓ったある日の午後。



>蒼華
質問ありがとうございました。
いやはや。
宍戸さんにも質問が来るとは予想していなくて、メールが来た瞬間一人で舞い上がりました///
宍戸さんとしては、妹が大切だからこそ、妹が選んだ人が誰であれいいんです。それが妹を泣かせる奴だったら、速攻アウトですけどね。妹ちゃんが幸せそうに笑っていることが彼の幸せなんです、はい。
だから、白石に強く当たるのもそれがあるんですね。どんだけやられても妹ちゃん大好きな白石にだったら、妹を任せられるんだろうな、と心の中では思っていても口では悪態つきます。だっておにいちゃんだもん。
とても楽しく書かせてもらいました。素敵な質問ありがとうございました。







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