・庭球歌劇空耳ねた。



「たこやきーらいーすがー」

「…………」

「いったりーきーたり」

「…………あの……」


あれ。
いつの間にか部室に柳生君がいる。いつ来たんだろう。


「ま、いいや。アーティストなのさっ」

「いえ。よくないです」


なにさ紳士のくせに乙女の楽しい時間を邪魔しないでくれ。
せっかく、部室を独り占めして、カラオケしてたのに。


「いえ……邪魔をする気はないのですが、……その……」

「おーおー。なんか楽しそうやのう」


わあ、におーだ。
眠そうにあくびをした仁王が、馴れ馴れしく私の肩を抱いてきたから、おもいっきり手を抓ってやった。


「相変わらず激しい愛情やのう」

「変態詐欺師」


全く。
これでやっと、おもいっきり歌える。あ、そうだ。
せっかく二人がいるんだから。


「一緒に歌おーよ」

「どこかのカラオケのキャッチコピーみたいやのう」

「いーでしょ?? 二人も歌える歌だから」


ね、いいでしょ。
と言えば二人はしぶしぶではあったけど、了承してくれた。


「やぎゅーなんでそない不機嫌なん??」

「彼女の歌を聞けばわかります」

「は??」


よし。これでほんまもんの歌が聞ける。歌える。よっしゃあ。


「いくよー」

「おー」
「はい……」

「たこやきーらいーすが」

「……は??」

「なによ。仁王と柳生の歌でしょ。ほら、歌おうよ」

「………」

「たこやきーらいーすが」


「やぎゅー」
「はい」
「なんか違うけど」
「はい」


楽しそうだからいいか。
って、二人が言ってたのを不思議そうに私は眺めました。

そうだ。
こんどはたこやきとライスを作って運んでもらおう。



「たこ焼きライス」




ーーーーーーーーーーーーーーー
ただ、書きたかっただけのたこ焼きライス







- ナノ -