「今も、……愛している」


私のことなんてどうせとっくの昔に、貴方の世界の果てに疎外させて忘れてたくせに、今になってそんな愛の言葉を囁かれても好きだなんて返してあげない。本当に貴方のことを 今でも好きかどうかなんてことは私が一番分かっている。だけどね、言わない。負けはいけないもの。真田君のチームメイトがいつも言っていたじゃないの。負けてはならぬ、なんでしょ?そうやって、私を蔑ろにしてきた貴方が今更私をどうしたいのかしら。

嫌いよ、嫌い。
そう言って突き放してあげる。そしたら真田君も私のことを好きだって言ったことを後悔するはずよ。嗚呼、ほら、その端正な表情がだんだんと歪んでいくその瞬間に一緒に私のことを嫌いになるに決まっている。
その、はず、なのに。


「っ、て……どうしてっ……抱きしめたり、するのよっ……」

「……すまない」



だが、愛している。
何よ。そういう言い方はずるいじゃない。謝ったって、ごめんってどんだけ頭をさげても、許さない。土下座して、涙流しても許さない。……はずなのに。


「……私も、好き」


そう答えてしまう私は、なんて弱くて、脆くて馬鹿で……阿呆なくらい乙女なんだろう。
今まで、私を散々放っておいたその腕は逞しくて、頬っぺたが落ちそうなほどに色めいていて、そのまま抱きしめたまま私を殺してほしいと思いながら、腕を背中にまわす。


回した腕


結局、私も貴方もお互いを愛さずにはいられない。


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文を短く的確に伝えられる文章能力が欲しくてたまらんぜよ←





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