俺の彼女は本当に可愛いなり。 いや、これはもう絵画の中から飛び出してきたとしか思えん。 というか、絵画事態があかりちゃんの為に作られたとしか思えん。 「ねえ、仁王。なんでそれを俺に言うわけ」 「お前さんが、女の絵描いちょるって聞いた」 「……ねえ、まさかとは思うけど」 「被写体にできるような美貌の女って言ったら、俺の可愛い可愛いプリティーガールな……」 「なんで俺がお前の彼女なんて描かないといけないのかな」 我らが立海の最強部長さんは、俺の顔をじっとりと見とる。 あかんぜよ。これは、絶対に黒魔術で後から腹痛、もしくは頭痛になるパターンじゃのう。 やけんど、今はそんなこと考えてられん。俺の可愛い可愛い彼女の貞操の危機と聞いて、彼氏として黙ってられんなり。 当たり前じゃろ。 あかりちゃんは、将来俺のお嫁さんになってもらう予定やけんのう。 うわ、ウエディングドレス気ながら泣くあかりちゃんを想像しただけで逝きそうじゃ。 きっとその頃には、「仁王君」から「雅治」とか言う呼び方に変わっとるに決まっとる。「雅治、幸せになろうね」とか言われたら……。 「んー!絶頂じゃのう!!!」 「ねえ、変態はどこかの部長だけでいいから。ていうか、邪魔。本当邪魔」 おおう。 これは、目からレーザービーム出しそうな勢いじゃのう。 さすがは神の子。柳生の技さえもコンプリートしとるようじゃ。 でも、たとえ神の子に罵られようと……。 「俺のあかりちゃんは渡さんぜよ!」 「だから、俺はお前の彼女なんて描いてないんだけど。ねえ、馬鹿なの? ああ、もういい」 お前の両側についてるのは、耳じゃなくてパンなのかな、と言いながら真っ黒笑顔の幸村。 その幸村が俺の目の前に差し出したのは、金色の髪の女が描かれたキャンパス。 それに、目の色も肌の色も全く日本人離れしとる。まあ、俺の彼女のほうが可愛いと思ったけど。 「君の彼女は金髪なのかな?」 「……。よし、邪魔して悪かったのう」 「よし、って何様? 俺に喧嘩売ってる?」 「引き止めなさんな。俺の可愛いあかりちゃんが待っとる」 じゃあのう、と早々に美術室を出る前に、大きな舌打ちと「覚えときなよ」の声が聞こえた気がするのう。 そういえば、今日は放課後一緒に帰る約束じゃったのう。 なんて、考えながら歩く廊下で一回転んだ。 ……恐るべき神の子。 黒魔術の天才じゃ。 でもこれで今日も俺の可愛いあかりちゃんの貞操は守られたぜよ。 「よし。今日も平和じゃ」 『今日も一日平和なり』 ーーーーーーーーーーーーーー 彼女溺愛すぎて、大分おかしい事になっている仁王君。 そして付き合わされる幸村。 . ← |