真面目な真面目な柳生君が、今日も生徒会室で頑張っているのをじっとり監察。
ああ、なんであんなに真面目なんだろう。私の分の真面目もきっと吸い取って産まれて来た生物ってあれだよね。

だけど、今日の柳生君はいつもと違う。何か食べてる。

いつもなら、風紀委員会として風紀を乱すわけにはいきません、とか言うくせに。
何を食べているのかが気になって、それを問うと、柳生君はちらりと顔を上げる。


「……なんだと思います?」

「え」

「あててみてください」


紳士的な笑顔を浮かべながらもそんなことを言い出した柳生君に少々反抗したくなりながらも、私はまじまじと柳生君を見つめる。

まあ、ガム、じゃないな。
あの柳生君にガムなんて似合わない。というか、駄目。

トローチとか? そういえば、喉が痛いとか前に言っていた気がするな。真面目な柳生君でもトローチくらいなら進んで食べそうな気がする。


「残念ながら、違います」

「えー、うそー」


うーん。そしたら、チョコレート。仕事をしている時は糖分が必要になるから、それを補いながら効率アップしているのかもしれない。
……あ、もしかして……。


「ファンの人から貰ったチョコ!」

「違います」

「じゃあ、本命だっ! 本命から貰ったチョコ!」

「残念ながら、貴女は私にそのようなものをくれていないと思いますよ」

「あ、そうか! それじゃ…………はっ……?」


音が鳴りそうなくらいの勢いで、顔を上げるとそこにあったのは少し唇をあげた柳生君。
なに。この人今サラリとすごい事を言った気がするんだけど。


「しかも、チョコレートではありません」

「え。あ、う、ちょ、待って。柳生君っ」

「飴です。では、次は味をあててみてくださいね」



それより前に、君すごいこと言ってきたんだけど!
なんて思っている時。
柳生君の綺麗な顔がアップ。あれ、アップ。

ちゅ。


「何味か……分かりましたか?」

「っ!!!!」


すまし顔で言う柳生君にあわあわしていると、すぐさま耳に爽やかでざらリとした声。


「お望みならば、もう一度確認いたしませんか?」


嗚呼。
こんなやり方ずるいけど、お望みを適えてほしいなんて思っている私は、柳生君の胸に飛び込んだ。

導き出した答えは。
甘くて、ほのかに爽やかなマスカット味。



『同じマスカット味』



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実は仁王君から貰った飴で遊ぶ紳士←
我が家の紳士は似非紳士。




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