※ダーク


もう、いいでしょ?終わりにしてしまおうよ。そう言う私に、貴方は何も答えてなんてくれない。
それが貴方の答えなの、なんて聞きたくなんて無いんだけどな。
強く吹く冷たい風は苦手なのに、いつまでこの空間にいないといけないのかな。
いい加減、貴方が返事してくれないと、私のワンマンショーみたいでしょ。


「ちょお、待ちや」


嗚呼、その声は本物? それとも偽物?
言っておくけど、貴方に今日、告白してきてた子の返事をする時の顔は偽物と呼ぶからね。
貴方は今、私に対してどんな想いでその言葉を述べているのかしら。


「なあ、戻ってきいや」


今更何を言っているのかしら。
全くもって、完璧テニスをする男の名がすたるわよ。
そんな切なそうな痛そうな顔をしたって、今度は私が黙り込んであげる。嫌よ。そんな苦しそうな顔。別にそんな顔が見たくて私はここに居るわけじゃないのに。


「なんでや」


なんで、なんでって決まっているでしょ。
自然の摂理。愚かな人間如きじゃ決められない神の啓示。
アダムとイヴが禁断の果実を食べた如き必然。
だから、貴方に返す言葉も何も無いわ。


「お願いや」


掠れている声ね。
もしかして、昨日叫んだのかしら。絶頂なんて毎日叫んでいるから、その綺麗な声も枯れてしまったのよ。
でも貴方の声が枯れようと私には届かないのよ。
お願いなんてされる義理もないのだし。


「なあ、お願いや」


ねえ。何度言えばいいの?
お願いなんてされても困るんだってば。
それなのに、そんな切ない顔して宙を見つめないで頂戴。
私は、そこじゃないわよ。眼までおかしくなったわけ?
完璧の男が、そんなんでどうするのよ。

だけど、そんな貴方だから。


「好きやった。……誰より」


嗚呼、本当に馬鹿な人。
今更言ったって、無駄よ。
貴方がこの世で一番嫌いな「無駄」それよ。それなのよ。

……でもね。本当はね。
私も好きだったの。狂ってしまうほどに。血の色と泪の色が見分けがつかないくらいに。
でも、その声は届かない。

嗚呼、本当に馬鹿な私。
魂が残ったって意味が無いのに。
だからいっそのこと消えます。
怖い? 別に。だって、欲しい言葉はもう貰っちゃったもの。

サヨウナラ。
サヨウナラ。

貴方を愛した私の肉体よサヨウナラ。

貴方を愛すぎて自分で消しさった私の肉体よサヨウナラ。

次に会う時は。きっと何処かの果て。そこは輪廻の廻った遠い先の話。




『輪廻の果てで待っている』



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なんだか、詩的なものが書きたくて。
ダークな感じも意外に好き。



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