「国光ー」

「なっ、なんだいきなり名前を呼ぶとは……」


あ、手塚がどもった。可愛いなあ。なんでこの人こんなに可愛いんだろうか。


「なんでっ?!」

「全く意味がわからない。主語を話せ」


いやいや。私の心ぐらい察してくれないと困るよ国光さん。
……的な目をしたけど、手塚はというと、眉間の皺を深くしただけだった。
ああっ、でもそんな仏頂面もいいっ!!!!
それに、顔はそんなになってるのに、あんなに、あんなに。


「あんなに甘い歌を歌うなんてっ!!!」

「だからなんの話しだっ!!」


私にも、ああいう甘い言葉をかけてくれればいいのに!!
でも、今の手塚も可愛くてかっこよくて大変なのに、そう、例えば「抱きしめてしまいそうさ」とか言われたら…………。


「キャーっ!!!! 手塚の台詞だけで死んじゃうーっ!!!!」

「……もう、知らん」


あ、もしかして。


「怒っちゃった……?」

「……この程度で怒らない……」

「国光愛してるっ!!」

「だっ、抱き着くなっ」

「あはっ、その顔油断してるよっ」

「誰のせいだっ」


やっぱり、私だけのために歌ってもらおうかな。
そしたら、私も抱きしめちゃう。
嗚呼、甘い甘い甘い。
手塚甘い。
結局私を振り払えない手塚すっごい甘い。


「そんな手塚が好きだよ」


手塚は??
そう聞くと、彼は私の頭に一度手を置いた。


「……あまり可愛いことを言うな」


お前を抱きしめてしまいそうだ。
なんて。
掠れた声でそんなことを言ってくれる手塚が、やっぱり好きだなあなんて。



『甘い甘い甘い』




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可愛い後輩が歌ってたからつい。抱きしめてしまえっ←




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