「なあ、謙也大変やっ」

「どっ、どないした?!」


なんや、白石が目もあわせんで、俺の肩をがっしりホールドや。
何事や。
まさか、金ちゃんがまた何か壊してついに警察沙汰になったんか??
それとも、小春とユージが、ついにテニスを捨ててお笑いに走ったんか??
いや。
財前がネット世界の神に上りつめたのかもしれへん。
銀さんが、修行に行って帰ってこんっていうことも有り得る。
千歳がおらんのはいつも通りやしな……。
小石川は……。
あいつ、今何やっとんのやろ??
あ、テニスか。
オサムちゃんのこけしが、どうにかなったんか?? 前に廊下を歩いとったちゅう話しも聞いたしな。

思いつかへん。なんや、ガブリエルか?! 冬が来たから、もしかして……。


「今にも死にそう、なんや」


やっぱりそうや!!
あかん。白石にもちゃんと現実を教えてやらな。俺には少し荷が重いけど、ここは友人としてっ。


「あかん。死ぬ。今すぐ」

「しっ、白石。誰でも、死は来るもんやで?? 悲しいかもしれんけど、しっかりしいや」

「あかん。もう、直視しただけで死にそうなんや」


そんな重傷なんか!!!
見ただけで死ぬって何事やねんっ!


「なあ、謙也。あれは一種の拷問や。俺の理性をためしとる」

「そやな……でも、今、白石がしっかりしたらんと、あいつもうかばれんで??」

「…………そやな。写真も撮ったったしな。……あとは俺の問題やな」


あかん。つらそうや!! なんか慰めをっ……


「謙也!!決めたわっ」


急に顔をあげた白石はごっつい辛そう……というか、真逆やった。
なんやキラキラしながら、一言。


「やっぱり、あかりの写真焼き増しするわっ」

「………は??」

「いやあ、あんな可愛ええ写真見たら死ぬって思うねんけどな、やっぱり、毎日眺めたいやろ??  っちゅうわけで、焼き増しすれから帰るな!!  ほなっ!!」


……え。カブリエルちゃうし。
……え。
全部、内海の話し??

もしかせんくても俺……
惚気られたっちゅうわけで。


「馬鹿ップルッ!!!!!」





『惚気られました』


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今日、最高級に可愛かった友人に勝手に捧ぐよ。







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