大体、なんで俺があんなツンデレと付き合ってあげているのかって話は今度するにして、まがいなりにも俺は彼女のことを愛しているというわけであって、そこは理解してもらいたい点であるわけで。


「で、誰の許可を得てそんなぶかぶかのジャージ着てるの? ねえ、調子のってるよね」
『は?何言ってんのゆっ、いたっ、あんた今蹴った!』


そりゃ蹴りたくもなるでしょ。俺の前にいる彼女が着ているのは俺が貸してあげたジャージじゃなくて、彼女の従兄弟の跡部のものだし。まあ、従兄弟だから仲がいいのは仕方ないとしても、跡部のはちょっと度を越している。っていうかあれって絶対わざとだよね。あの男は確実に俺に喧嘩売ってるよねうざいなあもう本当。


『っ、ちょ、ま、待って、な、なんでそんな怖い顔してるのさっ」
「え?ああ、わかった?」
『怖いよ。え、ごめんって、ほら、ちゃんと綺麗にたたんでるから許してっ』


別にそんな綺麗にたたまなくてもいいのに。ってか……なんで俺が怒ってるのかこの子わかってないよね。ああ、むかつく。俺ばっかりがこんなにヤキモチ妬いてるみたいですごく悔しい。でもそこもひっくるめて惚れたほうの負けだから、仕方ないというか。


「……キスしたい」
『っ、ちょ……まっ……』
「拒否権なんてないよ。……目、閉じて」


そういうと素直に目を閉じるところとか、ああ、もう。震えるまつげが妙にいとおしくて、まあほかの男のジャージ着ているのも妙にいらいらしているわけで。少し考えた後に一度唇を唇に触れさせた後、彼女のジャージを胸元まで下ろして首筋に唇を這わせた。小さな証はきっと数日もすれば消えてしまうだろうけど、白い肌によく映える赤はなんだか独占欲の塊みたいで嫌いじゃない。そっと顔を上げて微笑む。


『っ、いっ……え、っ、ちょっ』
「……いくら外を他人の服で着飾っても、体は俺のものってことで……まあ、許してあげる」
『っ、ば、ばっ、ばかあっ」


顔面真っ赤にしながら走っていく彼女の後姿は相変わらずなんかとりあえずいとおしくて、柄にもなく微笑んでしまった。うん、今日も幸せだ。


23章


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