「っ、先輩っ」明かりが一つもないその狭い小屋の中で、横たわっているその人を見た時に背筋に嫌な汗が走った。いやだ、いやだいやだ。抱き上げたその体は、尋常じゃないぐらい冷たい。冷たい?当たり前だ。こんな真冬にコートもまとわず、薄い制服一枚。口元のガムテープをはがす勇気がなく、一瞬ひるんだすきに、後ろから伸びてきた笠松先輩の手がゆっくりとそれをはがした。「っ先輩っねぇっ、先輩っ」返事してよ。返事しろよ。頼むから、頼むから。こんな最後は嫌だ。こんなの、こんなの。「ぅ、ぁ」 back