「っ、先輩っ」
明かりが一つもないその狭い小屋の中で、横たわっているその人を見た時に背筋に嫌な汗が走った。
いやだ、いやだいやだ。
抱き上げたその体は、尋常じゃないぐらい冷たい。冷たい?当たり前だ。こんな真冬にコートもまとわず、薄い制服一枚。
口元のガムテープをはがす勇気がなく、一瞬ひるんだすきに、後ろから伸びてきた笠松先輩の手がゆっくりとそれをはがした。
「っ先輩っねぇっ、先輩っ」
返事してよ。返事しろよ。頼むから、頼むから。
こんな最後は嫌だ。こんなの、こんなの。
「ぅ、ぁ」


back


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -