「俺の先輩なんで」
腰のあたりに回された腕が、私の恥骨のあたりを意味ありげになぞる。もれかけた声を押し殺した私は、彼の名前を呼ぶので精一杯だ。
「っ、黄瀬」
悪いことをしたなんてひとかけらも思っていない顔した黄瀬が、私に笑いかける。ああもうその顔狡いんだって。




「森山!」
「ごめんね、遅くなったね」
あくまでスマートに私の手を引きながら、紳士的な顔して彼は笑う。
「さて、困ったね


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