周助の笑顔を見るたびに私は胸が焼け焦げてしまうんじゃないかってくらい嬉しい。その笑顔が、私だけに向けられているって分かった瞬間には、宇宙までジャンプ出来るんじゃないかってくらいの気持ちになっちゃう。ほんの少し意地悪な表情の周助も好き。でも甘い甘い言葉を私に注いでくれる周助はもっともっと好き。
そのままドロンドロンに溶けてしまえればいいのに、ってくらい甘い周助の声に何度も何度もくらくらとするの。
周助はいつも私をそうやって幸せな気持ちにしてくれる。確かにテニスの練習が忙しいから、クラスのカップルの子達みたいにたくさんデートしたり、一緒に帰ったりとか出来るわけじゃないんだけど、その分もちゃんと愛をくれる周助が好き。ううん、大好き。言葉なんかじゃ足りないくらい好きなの。この両手じゃ数え切れないほど周助にドキドキする気持ちをもらったの。


『だから、ね』
「うん」
『その、今日、くらいは。私がね、周助、にドキってさせたくてね』
「うん」


だから、えっと、次はなんて言えばいいんだろう。あー、分からない。困ったように目線をあげるとにこにこしたままの周助の顔。すごく綺麗な笑顔が私に向けられているってことにまた一つ心臓が高鳴った。
周助はそのまま私の頬を一回撫でて「続きは?」と首を傾げる。
ほら、またそうやってかっこよくて可愛い態度とっちゃうもんだから、私はどうしようも無くなる。あーあ、折角周助をドキドキさせたかったのに。


『なんだか私ばっかりがドキドキしてて……ごめんなさい』


すると周助はぱちりと瞳を開いた。蒼い目が私の目の前でくるり。


「ねえ、いいこと教えてあげようか」
『なあに?』
「右手、貸して」


言われたままに手を貸すと、その手をやんわりと周助が握る。温かいな、なんて考えていた私の手を周助はそのまま自分の心臓の上まで持っていく。カッターシャツ越しに感じる周助の体温。そして。


『どくどく、してる』
「そう。僕もドキドキしてるんだ。どうしてか分かる?」



私の手をやんわり握ったままでそう聞いた周助。私としては答えが早く知りたくて、彼に答えを促すように、聞くと彼は綺麗に笑った。



「君に触れているからだよ」


ね、僕の心臓も充分ドキドキしてるでしょ?
そうやって囁いてくれた周助は、そのまま小さくかがんで私の頬にキスをした。
どうしよう。ドキドキしすぎて幸せだよ。






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