「ということで、今回はりんに変わって柳がお届けする」
「ええー、なにそれ。男二人とかさぁ。まあいいけどさ」
「今回は拝啓彼氏様に対する質問らしい」
「ふうん。なるほどね」
「では、はじめさせてもらおう」
「っていうか、ラジオのために海外来るとかお前すごいね」
「仕方ないだろう。お前は練習が忙しいのだから。でははじめるぞ」


そもそも、何故お前はりんを一途に想い続ける事が出来る?
蓮二が不意にそんなことを訪ねてきた。所謂藪から棒にってやつだ。国際電話はお金がかかるから、なんて心配をしない蓮二は流石と言ったところか。彼の身のこなし、情報能力、適応能力ならば職場でそれ相応の地位に立つことなんて難しくはないだろうし。
そんなことを頭の隅に置きながらふと考え込んだりんの姿。電話したのは……3日前か。あいつも教育現場っていうリングで戦っているみたいだ。あいつが学校の先生をしているなんて想像つかないけど、確実に言えるのは、あいつが先生している時に俺が生徒でなくてよかった、ということくらいか。もれなく先生と生徒の禁断の愛が成立してしまうところだった。ああ、でもいいよね。教師設定で。


「余計なことを考えているだろう」
「最大の魅力、ねぇ。……なんだろ、あいつの存在?」
「聞け。これはまたおおっぴらに惚気てくれたな」
「ごめんってば蓮二。……でもさ。正直不安になるんだよ?……俺とあいつの距離より、お前や真田、仁王に丸井に柳生にジャッカル、それに赤也。……皆の方がりんに近い距離にいるんだから」


そこまで言ってふと口をつぐんだ。これでは単なる無いものねだりかもしれない。そもそも留学することを決めたのは俺であって、あいつもそれを了承してくれた。こっちに来る前にあげた指輪も大切にしているって聞いた。毎日電話で何気ない会話を繰返して、小さなことで喜んで小さな事で共感して時にはぶつかって。ずっと傍にいたら分からなかったようなことも知れた。


「後悔はしていないよ。会えないなりにちゃんと愛しているし」
「あいつが新しく配属された学校の教師にディナーに誘われたとしてもか?」
「なにそれ殺す」
「……冗談だ」
「……蓮二、お前いい加減にしろよ。危うく目の前にあったマイクを握りつぶすところだっただろ」


すまないな、と苦笑交じりに言う蓮二に文句を言いながらも、不意に懐かしさがこみ上げてくる。俺がいる場所はここではないのかもしれない。早く日本に帰ってやりたいことが沢山あるのだから。だけど、今はまだ駄目なんだ。俺が俺として生きる道を探している途中で、帰るわけにはいかない。


「もう少し、頑張ってみようと思う」
「そうか」
「あーあ、ラジオなのにまじめに語りすぎた。……ってか、なんか恥ずかしい」
「まあ、いいじゃないか」



浮かんだのは愛おしい彼女の姿。物理的には遠い距離といえるのだけど、きっと俺は彼女とどこまでも繋がっているんだ、なんて。そんな恥ずかしいことを考えてしまうくらいにはあいつに溺れているそんな日々。


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質問ありがとうございました。
遅くなってしまい申し訳ありませんでした!
どうぞこれからもよろしくお願いいたします(^^)





 


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