怖い。怖いよ。主に隣からの視線が。
というか、なんで私の隣の席があろうことかあの幸村君になるのかなあ。といっても、私としてはあまりこの人のことを知らないから、この人がなんでキャーキャー言われているのかはよく分からないというか。


「ふうん。へえ、やっぱり俺のことあんまり知らないんだね」
『え、あの。……すいません』
「うん、せめてこっち向いてから話そうか。あ、もしかして今流行りのツンデレってやつかな? 可愛いけど、素直な態度が好きだな」
『え、あの……本当に、色々すいません』


なんでこの人はずっと私に話しかけてくるんだろうか。というか、今授業真っ最中なんですが。確かに、今教壇に立っている古典のおじいちゃん先生は、生徒なんてお構い無しに授業を進めるゴーイングマイウェイな性格として有名であるんだけど。だからと言って、私は授業中に楽しくおしゃべりするような性格でもないというか。
……というかマジで、静かに暮らせればいいんですが。


「人間は刺激がないと死ぬんだよ?」
『私は生きてるし』
「ははっ、やっぱり君面白い」


褒められているのかけなされているのかは分からないけど、とりあえず「はぁ、どうも」と曖昧に返事をしてみた。ところで、さっきから私の心の中を読まれている気をするんだけどなんで幸村君は私と普通に会話をしているんだろうか。あれ、もしかして心読まれているってやつかな。……怖い。えええ、怖いよ。

ちらりと横を見れば、思いっきりまだこちらを見ている幸村君。確かにみんなが言うように顔はいいけど、なんでそんなに人気なのかイマイチ分からないというか。そもそも。


「……なんでこの人がそんなに人気なの? ってとこかな」
『っ!』
「柳ほどじゃないけど、相手の考えていることくらい分かるよ。とくに君はね」
『ひっ、す、すいませんっ、……で、あの。その……』
「じゃあ、今日から、こうしよう」


ふわりと笑った幸村君は穏やかに言葉を紡いだ。


「俺のこと、ゆっくしっかり君に教えてあげるからね」
 

そんな意味深な台詞をこぼした幸村君はなんだか、ものすごく楽しそうでした。



02



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