すぅっと細く白い腕が伸びて
ボールを拾った。
門越しに黒子が受け取る。
「ありがとうございます」
『いいえ』
綺麗な長い髪を耳にかけ、俯き加減に返事をしてくれた。
ふと、彼女のバッグに目をやると
先日黒子も買った本が入っていた。
「あの、その本」
『ああ、これですか?
これは…思入れのある本で』
僕も買いました。と言うと彼女は微笑んだ。
ー綺麗だ。
「黒子先生ーまだー?」
園児達の声にはっとなる。
『それじゃ』
と彼女は手を挙げ、行ってしまった。
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