※エイプリルフールは無視の方向で

















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全てを背負った私が文字盤に降り立つ時


警察が追いかけてくるその場所で
お待ちしています



    怪盗キッド



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この、予告状でも何でもない


怪盗からのただの手紙が
郵便受けに入っていたのを確認して
たっぷり10秒後



すっかり謎を解いた名探偵は
不思議そうに首を傾げた






















「貴方なら来てくれると思ってましたよ」




ドアを開けて来た彼に
にこやかに挨拶する



「で?何なんだよ
こんな場所にこんな手紙で呼び出して」



「まぁそう怒らないでください」





杯戸シティビルの屋上には
強い風が吹いている


マントをなびかす自分の前で
コナンは面倒くさそうに溜息をついた



「にしても、オメー
暗号創るレベル落ちたんじゃねーか?」




いつこの白い花を渡そうかと思案していると

小馬鹿にしたように笑われる






「…だって今回は
俺が創ったんじゃねーもん」


「は?何か言ったか?」


「いえ、何も」





ついつい込み入った話をしてしまいそうになった



態度だけは大きい探偵クンから
慌てて視線を逸らして

本来の目的を遂行する





少しだけ緊張して
ハットを少し目深に被った







「覚えてますか?名探偵。
初めて会った日の事




「ああ。オメーが俺に喧嘩売った日だろ?」



「……根に持ってますね?」



「たりめーだバーロ」




批評家だの何だの言いやがって、と呟くコナンを見て

やはりあまり良い思い出ではないんだなと
打ちひしがれる




私、意外とガラスのハートなんですよ名探偵




こちらの気持ちとは反して

嫌そうにブツブツと当時の事を語る名探偵を見ていると


今日花なんて渡したら
本気で怒られそうだな…
なんて思い始めた







「あの時はちょっと
意地悪したくなっただけですって」


「へーへーそうですか」


「もう…忘れてくださいよ名探偵」




その言葉を見事に無視し

あの時と同じように花火は無いが、その位置に立つコナン



風に吹かれる後ろ姿も
何だか格好ついてるな、と眺めていると


ニヤリと口角を上げた顔が振り向いた






「バーロ、誰が忘れるかよ」



「………っ」









ああ、また








胸の1番奥を鷲掴みされるような感覚



その澄んだ瞳に射抜かれて



とっくに捕まってる馬鹿な怪盗の事なんて


貴方はまだ知らなくていい





「あんなにムカついた奴は
お前が初めてだからな」


「それは光栄ですね」




捕まりそうになって、逃げる


追いかけられなかったら近づいて


また捕まらないように逃げるのだ



そんな関係で良い




どんなに皮肉を言われても

その関係が壊れるより何倍もマシだ



嫌な奴、って睨む瞳を

この一瞬だけでも独占出来るのなら

俺は世界で1番嫌な男にだってなりたい






「…で?何でこんな所に呼んだんだ?」




名探偵が身体全体を振り向かせ
ゆっくりと向かってきた




夜の黒に浮かぶその姿は

小学生のそれでも
とても高貴で見とれてしまう







「あぁ、花を渡そうかと思いまして」



「花ぁ?」





拍子抜けしたその顔は本当に小学生のようだ


「ええ。お花ですよ。フラワーです」


「馬鹿にすんじゃねぇ」





明らかに不機嫌になったコナンを見て
「初めて此処で出会った時は
ぶりっ子してたくせに」と苦笑いする








あの時は花火を、今回は花を。




例えあの花火が警察を呼ぶ物だとしても


貴方から私への最初のプレゼント







「…ありがとうございます名探偵」



「?何がだよ?」





4月の夜風にマントをなびかせ
膝を折って小さな身体に目線を合わせる



訝し気な瞳の目の前で

指を鳴らして花を生み出した









お馴染みの白い花びらに黄色い雌蕊


可愛らしい
こじんまりとした花、マーガレット








「…花だな」


「花ですよ」






ニコリと笑うと
きょとんとしていたコナンの瞳が深みを増す


探偵の瞳だ








「新手の暗号…ってか?」







決してそこらの小学生には出来ない笑み
を浮かべる根っからの探偵を

少し挑発するように笑って立ち上がる





「さぁ、どうでしょうかね」














(この謎は解かない方が良い)
(この花言葉が消えるから)













見上げた月は今日もひたすら闇を照らしている



これから自分も
その闇の一部になるのだ


出来る事なら博識な名探偵とは言え

この花言葉は知らないでほしい











「それでは、名探偵」









今日使うのは、
あの日と同じ閃光弾。























4月1日


マーガレット




花言葉

『秘めた愛』















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滑り込み邂逅記念日いぇあ!

江戸川にベタ惚れな怪盗いぇあ!


出会ってくれて
ありがとう\^0^/!



暗号の答えはこちら





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