朝の光を反射する
大きなあの空は蒼く
闇夜に浮かぶ
綺麗なあの月は
朝起きて
夜に寝る
君を想う事で始まった日が
君を想いながら終わりを告げる
いつも君を想ってる
そうやって毎日、続いていけば幸せだったね
- はじめて -
ラフは、二人の消えた窓を見ながら立っていた。朝になり、サラやニコラにどう説明すればいいのだろうか。花嫁は、悪魔に攫われてしまった。ニコラにとっては村長の血に自分の親族を作るチャンスだったろう。サラに取っては自分たちの血を絶やさない為の、頼みの綱だったろう。ユキノも、自分の役割くらいわかっていたはずだ。だから自分との結婚を、大人しく受け入れていたのだ。ベッドの上で見せたのが、彼女の本音だったというのに。
ラフはユキノを叩いた手の平を眺めた。冷静になって考えてみれば、自分はどうしてあんなにも焦っていたのかわからなかった。ただどうしても、ユキノに自分の子供を産ませたかった。それは恋というにはあまりに営利的で、ユキノにしたら冗談ではない話かもしれない。この村に生まれたからには、それは多少仕方が無い所もあるが、本来であれば恋をして、愛を育んでから行うべき行為なのだから。大人の、しかも男の手で思い切り叩かれた時の、ユキノの表情は紛れも無く恐怖だった。どうしてもっと、優しく振る舞うことができなかったのか。それはラフが考えても、きっと答えは出ないだろう。何か一点だけを考えているとき、ひとは驚くような行動を取る。それが、吉とでるか凶と出るかは、本人にだって知ることはできないのだから。
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