集中。
集中しろ、俺。
そう思うも意識は完全に背後にいるコノハに持っていかれていた。

数分前、アジト内の一室でカタカタとPCゲーに興じていた俺をコノハが呼びにきた。
どうやら他の皆も集まっていて、俺にも召集が掛かっているらしい。
「今いいところだからもう少し待って貰っていいか?」「もう少しってどれくらい?」「えっと…10分くらい?」そんな会話をした。
普通ならここで、「分かった。早くしてね」みたいなことを言って部屋を出ていくと思うんだがしかしこの状況だ。
「じゃあ待ってる。」とコノハは背後から画面を覗いていた。
近い。肩に手が掛かっているのも気になる。
因みにエネは先に皆のところに集まっているらしい。恐らくモモのスマホだ。

そんなこんなで数分。
無駄に近いコノハに意識を持ってかれながらも俺は敵を倒すべくキーボードを叩いていた。ラスト一撃。そんなところだ。

「あ、ちょっ!」

とどめだ!と思ったところでキーボードを打つ指は後ろから伸びてきた手によって弾かれ画面に映るのは敵の攻撃を無惨に受けることになった自分だった。何をする。

「シンタロー遅い」

「もうちょっとって言ったじゃねえか!」

「あと10分って言った」

確かにそんなことを言った気もするし実際今はそのくらい時間が経過したところだろうとも思うがさすがにこれは落ち込む。

「来て」

「え、ちょ」

力任せに引っ張られ何するんだよ、と抗議をすればドアの前まで来たところでコノハは制止して再び俺の背後に回った。

「何?」

「ドア開けて」

背中を押されながら開けたドアの先にはお馴染みのメンバーがいて室内はいつもと違う装いをしていた。

「誕生日おめでとう、シンタロー」




驚愕セレブレイション

2013/04/30



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