誕生日についてランランから触れられないまま一日が終わろうとしていた。きっとこのまま祝ってもらえないんだろう。かといって去年のように自分から誕生日アピールをしたところで適当にあしらわれるのが分かっているからもう受け身を取るしかないのだ。しかしそれだけじゃ本当に何もないまま終わってしまう。せめてもう少し一緒の時間を引き延ばしたい。

「ランランご飯行かない?」
収録終わり、楽屋に戻りながら投げ掛ける。もう祝ってくれなくていいからごはんくらい美味しく食べたい。そう思って誘ってみる。用事がない限りオッケーしてくれるはずだ。
「今日は家で食う」
「ええー?ぼく奢るよ?それでも行かないつもり?」
今日に限って食い付きが悪い。家で食べるってそれはもしや待っている人でもいるのだろうか。いやそんなまさか。
「なら食材を奢れ」
「えっと、それってぼくも食べていいってことだよね?」
「まあ…そうなるな」
「やった!因みにメニューは?」
嬉しい誤算だ。ランランの手料理がプレゼントになるなんて。
「ショウガ消費してぇから生姜焼き」
「豚肉?」
「普通豚肉だろ」
当たり前だろって顔をされる。
「今から買うの?」
「ああ」
「鶏肉にしない?」
「は?」
「れいちゃんからあげが食べたいなー…なんて」
欲が出てしまうのはもう性格上仕方ない。すぐに調子に乗るなとよく言われるのも納得だ。
「あー…じゃあまあ、からあげにすっか」
「いいの!?ホントに!?」
「てめぇの金なら特売の豚肉狙う必要もねぇしな」
「ありがとランラン!」
思わずランランの手を取って握ればランランの眉間に皺が寄ったからすぐに離した。ここで機嫌を悪くさせたら意味がない。
「…大袈裟だ。大体お前んとこのからあげに比べたらそんなにウマくねえだろうし」
「よそはよそ、うちはうちだよ!」
「いやそれなんか違うだろ…」
「とにかく!ぼくはランランのからあげはランランのからあげとして評価するから他とは比べないよってこと!」
だから心配いらないよ、とウインクを飛ばせば目を逸らされた。
「…なんでもいいからとっとと支度しろよ」
「ラジャー!」
ランランに急かされて着替えるのはもう慣れたはずなんだけど口元が緩んでなんだかスムーズに着替えられていない気がした。今にも遅えぞって飛んできそうだった。

「…っと。よし!お待たせランラン!」




祝福確率10%

2014/07/14



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