「あれ?チャーハンじゃなかったの?」
「鶏肉が余っていたので」
机上に現れたのは作ってくれると言っていたチャーハンではなくオムライスだった。家庭的なケチャップをかけるようなものではなく、デミグラスソースのかかった店で見るようなものだ。

「お前料理出来たんだな」
「勉強したんですよ。貴方の為に」
「俺のため?」
「ちゃんと食ってるか?なんて訊いてくるわりに貴方はきちんとしたものを食べていないようだったので」
能力がまだ5分使えていた時の事だろう。
しかしこの前までは実家で手作りの温かい家庭の味が当たり前だったのだから、今更そんな心配はいらない気もする。
というか心配するわりにオムライスとは…チャーハンとそう大差ないと思うがそれを口にすればバニーがへこむことが目に見えているから黙ってオムライスにスプーンを入れた。

「おお!玉子とろっとろ!」
ソースに隠れてあまり見えなかった玉子はグルメ番組で見るような美味しそうなものだった。
玉子を破って中のケチャップライスを一緒に掬って口にする。

「ん、ウマい!」
「それは良かった」
グルメレポーターのような上手い誉め言葉は浮かばないが美味しいと感じた気持ちは伝わったようだ。

「そうだよなあー何ヶ月もあればバニーもこれくらい作れるようになるんだもんなあ」
バニーが見知らぬ成長を遂げているのに自分は何も成長していないんじゃないかと少しネガティブな思考がよぎったが慌てて押し込めた。

「腹を下すようなことがあったらすいません」
「え?何?肉とか卵とか腐ってたの?」
「そんなわけないでしょう。冗談ですよ」
「冗談!?お前冗談なんか言うようになったの!?」
まさかあのバーナビーが冗談を言うとは。
空になった皿にコツコツとスプーンをぶつけながらバディを組んだ当初のことを思い出した。

「あーでもチャーハンも食べたかったなあ」
あの時のバニーの自分のためにチャーハンを練習しているから食べてほしいという約束はまだ果たされていない。

「僕は虎徹さんのチャーハンが食べたいです」
「ええー?俺のは前に食べただろ?俺はバニーのチャーハンが食べたいんだけどなあ」
「…僕は久しぶりに貴方の作ったチャーハンが食べたいんですが」

「うーん…そうだなあ……お!」
「なんですか」
「じゃあさ、一緒に作ればいいんじゃねーの?」
「僕が虎徹さんの手伝いをすればいいんですか?」
「それじゃ意味ねーだろ」
「じゃあどうするんです?」

「うーん…よし!明日は俺が作るから明後日はバニーちゃんな!」
「2日連続ですか…?」
「2食連続が良かったか?」
「いえ、2日でいいです」



連チャーハン

2012/10/06



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