「あ、この人レッドのスーツアクターさんです」
映像に映ったのは恐らくこの回のゲスト的な立ち位置の人物だった。スーツアクター…っていうのは確か中の人の事だ。
「中学生までフィクションを信じてたヤツがそんなとこまでよく見てんだな」
こいつは現実を見ていないようで見ている。かと思えばそうではなかったりしてまだ大人になりきれていないところがある。
「ヒーローやるならそういうところも知っておかないといけませんから」
「知らないといけないって別にその活動に役立つわけじゃないだろ?」
「そうなんですけど、自分の知らない裏側の部分って知れば知るほど楽しいじゃないですか」
「裏側の部分ね…」
まあ分からなくはない。興味のあることはとことん知っておきたいし突き詰めたい。そういうところはある意味自分の職業と一致している。
「後藤さんの裏側の部分も結構興味深いですよ」
なんだそれ。こっちを見るな。そして笑うな。
俺は正義の芸能人としての世間向けの顔から見たわけじゃなく所謂裏の顔がファーストコンタクトなんだがそれは果たしてどっちが裏側の部分なんだろうか。それともその二つはどちらも表で他に俺の知らない裏側があるのか。
「俺はお前の裏はよく分からん」
何を考えているのかよくわからない時がある事を含めてこいつの裏は謎だ。
「後藤さんになら見せますよ、裏側の部分」
その顔は素でやってんのか。それとも計算か。ほらみろ、やっぱりよく分からん。



仮面の下の素顔

2013/11/09



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