「渚くん」
れいくんはなぎさくんに声を掛けて手をグーにして差し出した。
「昼食に食べる予定でしたが」
なぎさくんが手を受け皿にすればそこに置かれたのはキャンディらしきものだった。なんだ持ってたんじゃん。
「チーズ?」
「それで我慢してください」
チーズだったのか。ああ、なるほど。いやでもチーズって。
「チーズってお菓子なの?」
「おつまみじゃない?」
ごうちゃんとなぎさくんがチーズについて素朴な疑問を口にすればれいくんはなんかちょっとやっぱり出さなきゃ良かった、みたいな顔をしていた。
「怜ちゃんゼリーは持ってないの?」
「ありません」
「お弁当っていったらゼリーだよね?」
「え?私はフルーツだけど…」
「今日の栄養バランスを考えた結果のチーズです。いらないのなら返してください」
「返したら他に何か違うのくれる?」
「だからこれしかないと言っているでしょう」
「うーん…じゃあとりあえずチーズ貰って、何かあった時のために取っとくね」
「あれだけ騒いでおいて今すぐ食べたいというわけではなかったんですか…」

なぎさくんの言動が小学生並に矛盾している事がよく分かったところで予鈴が鳴った。バタバタと人が行き交う廊下を小走りに階段を下りた。なんだか見回った気がしないけれどなんだかんだ楽しかったのでまあいいとしよう。





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