年を重ねるたび、学年が上がるたび教室の階は下がる。年寄りを労るシステムだ。
一年生の時は遅刻ギリギリの時間に門をくぐっても教室に辿り着く頃にはタイムオーバーだったりするんだよね。いや私は別にそんな走り込んだりしなかったよ?まあ堂々と歩いてたけど。
階段上るのはしんどいけどこの景色は好きだ。窓際の席だとつい外ばっかり見ちゃったりね。
おっといけない。私が今見なければいけないのは外ではなかったそうだった。
そういえば一年生に知り合いって部活の後輩くらいしかいないな…。
今日は一人朝練に来てなかった子がいたからその子を探してみようか。欠席ならそれまでだがサボりなら一喝しておきたい。いや別に顔を見ておきたいだけだけど。お菓子欲しいだけだけど。
彼女が何組に在籍しているのかは知らないのだけどまあ覗けば分かるかな。

「ねえ怜ちゃんお菓子はー?」
「ないです。何回目ですかそれ」
「3回目?」
「6回目です」
「2回1セットだよ」
「意味が分かりません」

みんな考える事は同じらしい。いやまあ今までに覗いた他のクラスからもちらほらそんな会話は聞こえたしお菓子食べてる子もいたけどね。うちの後輩ちゃんは黒いマントひらつかせてたけどね。
活発そうな子が大人しそうな子の机でお菓子お菓子唸ってるのは初めて見た。

「あ、でもイタズラは6回だからね」
「理不尽です」
「あ、江ちゃん!」

あ、こっち見た。と思ったら活発そうな子がこっち来た。目的はどうやら今教室の前を通った誰からしい。

「江ちゃん!」

ごうちゃんと呼ばれたその子はポニーテールを揺らしながら振り向いた。あれなんかそんなフレーズどっかで聞いたことあるな…まあいっか。

「トリックオアトリート!」
「あ、えっと…」
ごうちゃんがハッとしてポケットの中を確認している間にメガネくん…えっと確かれいくん?が教室から出てきていた。


ごうちゃんのポケットに注目
れいくんの手に注目



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