家を出る前は涼しいと思っていたのに日射しは夏のように鋭かった。階段を上り切って漸く着いた家の前で呼吸を整えるように深呼吸した。
ピンポーン。響く音に反応は無く舌打ちをしそうになりながら裏口に回った。
どうせ風呂だろうと覗いた脱衣場にその気配は無く、珍しく本当に留守なのかと思いながら部屋を見て回る。
時折立ち止まって耳を澄ましてみれど人の気配すら感じることが出来ず、そういえばまだ玄関の靴を見ていないな、と思い部屋から廊下に出てみればそこに漸くその姿を見た。
「猫かよ…」
チャイムを鳴らしても出て来ないのは当たり前だと言うようにハルは縁側で横になっていた。
寝始めた頃は日陰だったのだろうが、今は日がガンガンに当たっていて起こすべきか少し迷って手を伸ばす。
額に張り付く前髪が鬱陶しく見えて横に流してやれば眉間に皺が寄った。
どうにか日陰を作ってやろうと何か日を遮るものがないか周りに目を向けるが見当たらない。
とりあえず、と居間にあった扇風機を運び出し近くのコンセントにプラグを差し込んでハルに風があたるよう向きを調整した。
物音を立ててしまったから起きたかもしれないと顔を覗き込むがまだ寝ているようだった。
せっかく来たというのに。少しだけ気分が悪くなりながらハルに当たる日を遮るように座り込んだ。



ああ、暑い。

2013/09/25



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