ピピピ、と控えめな目覚まし時計が凛に起床時間を知らせた。朝6時。
目覚ましを止めてベッドから抜け出し、トイレや着替えなどを済ませて5分も経たないうちに外へ繰り出すのがいつもの凛だったが今日は違った。
トイレから出たところでいつもはまだ寝ているはずの似鳥が起きていたのだ。
「わり、起こしたか」
「いえ。ボクも走ろうと思っていたんで」
似鳥は寝起きとは思えない普段のような声でそう言ってバタバタと外に出る準備をしていた。
「松岡先輩」
「…なんだ」
「ボクも一緒に走っていいですか?」
「…勝手にしろ」
「はい!」
凛の了承を得た似鳥は急いでジャージに着替えた。勝手にしろと言ったものの凛は似鳥が準備をするその間、一人で外に出て行くことはなかった。
それに気付いた似鳥がクスッと笑いを溢せば、なんだよと凛が鋭い視線で似鳥を睨んだ。
「いえ、なんでもないです」
準備が出来た似鳥を見て凛は行くぞと呟いた。
始まりのアラーム
2013/07/25
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