春のような日差しとは対照的に風は冬のそれだった。
上履きから履き替えたばかりの靴は冷たくて爪先の感覚が徐々に失われていく。
一刻も早く帰りたいのだが、下駄箱でもたつくボッスンがそれを許さない。
どうかしたか、と下駄箱に戻るとボッスンの手には今日という日に相応しい包みがあった。
『本命だな』
「お礼じゃねえの?」
『名前も無く直接渡す勇気もないほど密かな恋心だな』
「毒盛られてたりしない?大丈夫?」
貰い慣れていないのと卑屈な部分が相まって疑いが先にくるらしい。
『本命だろうと毒入りだろうと送り主はどこかから見てるんじゃないか?』
「マジで?」
キョロキョロとあたりを見回すボッスンを置いて再び外へ出る。その後に続くようにして出てきたボッスンと並び校門を目指す。
『物好きもいたもんだな』
「うるせえ」
『家で食べるのか?』
「普通はそうだろ」
『そうか』
質問の意図が分からないのか一瞬首を傾げたがきっとそれはボッスンにとってどうでもいいことなのだろう。
会話はいつも通りのくだらない話へと切り替わった。
送り主はとなりにいます
2013/2/14
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