「今時第二ボタンね…」
そう呟いたボッスンの先にある部室のテレビはドラマの再放送を映していた。確か一年くらい前の学園モノだ。
依頼もなく他にやることが何も無い時はこうして適当にテレビを見ることがあった。
「貰ってるとこ見たことねえけど」
「そんな堂々とやり取りするヤツおるわけないやろ」
「つかボタンってそんな簡単に取れんのか?」
「サッと取ってスッて渡すんがカッコいいんやからそんなぶち壊す発言すんなや」
テレビのそれはまさにそんな感じであり演出とはいえそんなに簡単に取れるものではないだろうと思ってしまうのも仕方ない。
「でもまあ一回は経験してみたいよな、こういうベタなのって」
『オレはあるぞ』
「うわー嫌味かコイツ」
『安心しろ。モテないボッスンでも今年は大丈夫だ』
「何がだよ」
『ボッスンのボタンはオレとヒメコが貰うからな』
「スイッチ…」
「さりげなく酷いこと言うてんのに男前やな」
『オレのボタンは勿論ボッスンとヒメコに捧げるぞ』
「うおおお!スイッチー!」
ほなアタシもアンタらにやるわ、と笑ったヒメコはきっとオレと同じ考えで、言葉にしきれない感謝の気持ちを全てそのボタンに託して渡したいと思った。
ボタントレード
2013/2/2
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