「サーヤ!」
リビングでテレビを見ながら髪をタオルドライしていたら、ついさっきお風呂にいったはずのお兄ちゃんが腰にタオルを巻き付けてドタバタと戻ってきた。
「な、何!?」
「お兄ちゃんに何か言うことないか!?」
言うこと…
「あー!床濡れちゃったじゃん!ちゃんと拭いてよね!」
「おお、わりぃ。じゃなくて!オレに言うことは!?」
「頭の泡落とした方がいいんじゃない?」
「違う!そこじゃねえ!他に言うこと!」
「うーん…泡が目に入りそう、とか?」
「泡から離れろよ」
「もう…ちゃんとお風呂入って来ないお兄ちゃんなんかに何も言うことなんてないわよ!」
「なっ…分かった、ちゃんと入ってくる…」
お兄ちゃんはとぼとぼと風呂場に戻っていった。
(お兄ちゃんが私に言って欲しいことくらい、分かってるよ)
時計の針は午前0時を少し過ぎたところだった。
2011.12.05
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