朝から燦々と降り注ぐ太陽の日射しを浴びながら通学路を歩けば首にじわりと汗が滲んだ。
「ヒメコー」
後ろから声を掛けてきたのはボッスンで、振り向けばボッスンの隣にはスイッチがいた。
「なんや2人一緒て珍しなあ」
「ちょっとコンビニ行ってきたんだ」
はい、と差し出されたビニール袋を受け取り、中を覗く。透明なプラスチックの器に黄色っぽい何かが入ったもので、それが何なのかは簡易的に付けられたリボンによりよく見えなかった。
「…何これ?」
「何ってどこからどう見てもプレゼントだろ」
リボンを外せば、スーパーやコンビニで見掛ける冷やし中華だった。
「冷やし中華て!プレゼントに冷やし中華て!…まあええわ。一応聞いたるわ。なんで冷やし中華なん?」
「今日冷やし中華の日なんだってさ」
『「冷やし中華〜始めました〜♪」』
「お前らそれやりたかっただけやろ!」
「いやあぶっちゃけプレゼントとか何選んだらいいかわかんなくてよー」
「それぶっちゃけたらアカンやろ」
『オレはちゃんと用意したぞ』
「え?マジ?」
「おお!さすがスイッチや!開けてもええか?」
『ああ』
スイッチから受け取ったその小さめの袋を傾けて中身を手のひらに出してみる。
「おお!ペロキャンキーホルダーや!こっちのんも可愛いなあ!」
スイッチにお礼をし、アンタはないんかとスイッチと共にボッスンに視線をやれば、なんだか申し訳なさそうにしていた。
「うっ…まあ、その、あれだ!帰りにケーキでも食べてこうぜ!な?」
「他には?」
「他!?」
「ケーキだけで満足すると思うなよ!」
「図々しいなお前!」
「なんて?」
「いや、何も」
「あ、せや!セール行こ!セール!」
「はあ?」
「服買うてや」
「嫌だよ!嫌な予感しかしねえよ!」
「スイッチはちゃんと用意してくれたのになあ?」
「か、買えばいいんだろ!言っとくけど高いのは無理だかんな!」
『実はオレのはモモカのプレゼントのついでに買ったんだ、なんて事は言わないでおこう』
「丸聞こえや!なんやお前!珍しくこんな可愛いもんくれる思ったらそういうことか!」
『違うぞ!ペロキャンキーホルダーの方はちゃんとネットで探したんだぞ!』
「ホンマか?」
『これは完全受注生産品で中々手に入らないんだぞ!』
「ふぅーん…まあええわ。でもまあ一応お前もセールついてこい」
『…了解』
「なんやお前らものっそいイヤそうやな」
「滅相もございません」
「ほな、帰りはケーキでセールは明日な!」
「日跨ぐの!?」
「なんか文句あるか?」
「いえ、ありません」
プレゼントランク
2012.07.07
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