まっしろな少年






ごろん、と寝返りをした。寒くて寒くて、炬燵から出る気がしない。お祖父ちゃんの家はとにかく寒い。昔ながらの日本家屋、特にリフォームもしていないせいか、隙間風が体に響く。それだけではない、ここは雪国。外は降り積もる雪。自宅にいれば快適な暖房器具に囲まれ、便利なコンビニへおやつを買いに行けて、暇つぶしにテレビだって見れる。ここでやることといえば、炬燵に入ってみかんを食べることくらいだろうか。冬休みを利用してこちらにやってきてまだ2日、既にわたしはやる事を見失っていた。何も無いところだけど、自宅よりわたしは快適だと感じている。なぜなら、自宅はここより寒い。環境の問題ではなくて、心が寒いのだ。両親は仮面夫婦、本格的に亀裂が入り、わたしはこちらに預けられた。小さい頃からおじいちゃんっ子で、こちらに来ると知らされた時心から喜んだ。きっと両親はわたしを戻す気はないだろう、お互いを愛してなければ、わたしのことも愛してないのだから。そんな寂しい15のわたしーーー


「なんちゃって、」

そこまで考えてまた寝返りを打つ。独り言が余計に寂しく感じる。はあ、とため息をつくと、わたしは一人ぼっちだと自覚させられる。因みに、おじいちゃんはいない。お酒が大好きなおじいちゃんは毎晩飲みに出かけている。わたしのせいでじいちゃんの唯一の楽しみを奪いたくないし、いつも行ってらっしゃいと笑顔で見送る。


「さみしいなあ」

言葉に出すと心に染みる。もう口から吐き出すのは金輪際やめよ、そうだ、さっさとお風呂に入ってあったまって、湯たんぽの入ったお布団で寝よう。炬燵から脱出を決意して、ズルズルと身体を引き出す。体が重い、ずっと家に引きこもってるせいだろうな、明日は雪かきはりきろうかな。よいしょ、身体をあげた、時だった






どーん




何いまの。
雪が屋根から落ちた音にしてはでかい。もしかして、泥棒かもしれない。確認するには恐怖心もあったけど、なにせわたしは退屈なのだ。退屈なわたしの好奇心が、重たかった身体を動かし縁側へと足を運ばせる。ガラリ、と障子を空ければ、見えたのは真っ白な少年が窓の外にいた。雪を頭からかぶさり真っ白。だけじゃない、よく見れば髪の色が銀髪、雪と同化して全身真っ白だった。


「まっしろだ…」


少年と初めて会った時、わたしが口にした言葉はこれだけだった。







(20121227)



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