夏野菜カレー




空調が効いているおかげで心地良い涼しさが保たれている室内。
私はいつものソファでのんびりと寛ぎながら、
ソファ越しにキッチンを振り返っては口元をだらしなく緩ませていた。
耳に届くじゅうじゅう、というなんとも食欲をそそられる音にそろそろお腹が騒ぎ始めるお昼時。


リビングと直結している広いダイニングキッチンに立つセフィロスさんは、
緩く編まれた長く美しい銀色の絹糸を肩口から垂らした"休日"スタイルでアルミ色のフライパンを軽々と振るっている。
シックなブラウンで統一されたカントリー調の綺麗なキッチンと、すらりとした長身美青年、銀色。
これはかなり見蕩れてしまうけれど刮目すべきはその手捌きでございます。
食材を切るにしても、調味料を振るうにしても、彼の動きには一切の無駄が無いのである。私なんかあっちに行きこっちに行きでグダグダな段取りだってのに、セフィロスさんは全てにおいて綺麗に料理をする。

赤や黄色、緑、と色とりどりの鮮やかな野菜をフライパンに投入してさっと炒めたら、次に取り出すはスパイス類。
親指一つで蓋を弾き、軽く振るい入れれば香辛料の香りがふわりと広がっていく。


「わぁ、いい香り〜」


こちらまで届く食欲を刺激する香りは、私の心をうっとりとさせた。
するとキッチンから静かな笑い声が。



「あぁ…夏に似合う香りだな」

(あ、そうか、さっきの野菜は夏野菜だったのか)



納得と共にキッチンに頷きかければ、
銀色の美青年が香辛料の香り以上にうっとりとさせてしまう様な微笑みを浮かべていた。
あまりに綺麗な顔に未だ慣れない私は、気恥ずかしさと共にやって来たお腹の音に更に恥ずかしくなってしまうのであった。



 
 




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