ポケモン小話 (ネタバレ注意)

2016.11.24 Thursday


「あのアイテムボールがとれない…!」

私は崖下20m程に転がっている赤と白のなんともおめでたいカラーのアイテムボールを見下ろしながら、がくりと両膝をついた。

道すがら障害があるものならアローラ地方特有の"ライドポケモン"という、通行をサポートしてくれるポケモンがいるのだけれど…どうやらこの崖には対応できないらしい。彼らを呼び出す事ができない。

憎むべきは私の性格である。
「また今度来よう」。もちろんそんな思いが過ぎりました。だけどどうしても目に映ってしまうと気になって気になって仕方が無くて…もしかしたら重要なアイテムかもしれないでしょう!

(今一緒にいる一番大きいポケモンは…)

ショルダーバッグの中のモンスターボールをゴソゴソと漁り、目当てのボールを探り当てれば願掛けするかのようにボールを額に当てた。
すると頭に直接語り掛けるように、低い声が響き渡る。

『…何用か』

「オメガさん…お願いです、オメガさん…」

『お主…少し落ち着け』

古風な喋り口のオメガさん。
彼はカロス地方で"秩序を守る"という伝説のポケモン、ジガルデだ。
にょろにょろっとしている緑の小さな蛇を集めよ!と古風な言葉で司令を受けて、なんとかアローラに散らばる緑の蛇を集めてやっとの思いで完成した50%フォルムは頼りになる大きさ。最初はスマートなドーベルマンみたいだったから、ギャップに驚き桃の木モモンの実!

「崖下のアイテムボールを取りたいんですっ」

『…どうしてもか』

「どうしてもですっ」

『ライドポケモンとやらは…どうした?』

「ダメって言われちゃいました!」


『ふむ…』と声音で考える素振りを見せてから、オメガさんのボールが激しく揺れた。どうやら出せ、という催促らしい。

『余を崖下に出せ』

「あいさ!」

その指示と共に、ボールを崖下に向けて投げ付ければ光と共に大きなオメガさんが狙い通りに崖下に飛び出した。
蛇のような顔が崖上の私を見上げて僅かに頷く。

『余がお主を受け止める。飛ぶがいい』

「ちゃ、ちゃんと受け止めてくださいね…!」

私はがくがく、と情けなく震える膝小僧を屈みながら押さえ付ける。

『元より、お主が思い付いて余を出したのだろうが』

「そっそうなんですけど…」

言っちゃなんだが高い所は得意ではない。
幾度か冒険を重ねて高い所から落ちる事はしばしばあったけれど、無事でいれたのはみんなポケモンのお陰であって。しかもエスパータイプのポケモンが居たから落ちても念力で浮かせてくれるので、かなり安心感を持って落ちていたわけで。
今、手持ちにはエスパータイプのポケモンはいない。なので自分から落ちる事を決めたはいいがやはり覚悟は必要だ。

「い、いきます…!」

生唾を飲み込んで、深く深呼吸をした。

『うむ、来るが良い』

再び大きな蛇が力強く頷いた。

「あい…」

ぱんっと膝小僧を思いっきり引っぱたいて足首に力を込める。

「きゃん…」

体重を掛けた足で思いっ切り地面を蹴り付ける。
助走を付けて一思いに走れば迫る崖。

「ふらーい!!!!!」

ぴょんっと崖から飛び出すと同時に襲う浮遊感。

「アイテムゲットだzくぁw背drftgyふじこlp;@:「」!!!!!!!」


こんなアローラ生活、如何でしょうか。

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