デニスで



彼はきっと、挨拶のつもり、だったのだと思う。外国では挨拶代わりにキスをするらしいし、誰にでもフレンドリーな彼のことだから多分、いや絶対そうに違いない。女の子になら誰にだって、キスをするんだ、最低だ。
だけどその最低のせいで、私は女の子の人生の中でも大事な大事なファーストキスを失ってしまった。まだ彼氏も作ったこと無いのに。これは許されざる行為である。

「泣きたい…」
「Hey!My bird!そんな暗い顔してどうしたんだい?」
「出たな悪の元凶!あと私鳥じゃないもん!」
「Oh...なまえは英語苦手?」

ぐ、人が気にしていることを。そう、私は英語が大の苦手科目だ。LDSに通い始めてから友達も増えたから、よく教えてもらったりしていんだけれど全く伸びない。留学生がやってくるときいて、もしかしたら英語を教えてもらえるかも!と思ったけれど、その留学生がこんなんだもん。教わる気にはなれない。

「僕が教えてあげようか」
「お断りです!私初対面でキスしてくるナンパな野郎に教わることなんてない!」
「ナンパ…?Girlhuntのことかい?だったら誤解だよなまえ」

誤解なもんか。好きでもない女の子に、しかも初対面なのにキスしてくる奴なんて、フレンドリーとか外国人だからとかそういうの理由にならないんだから!

「ファーストキスだったのにー!バカー!」
「!Really?」
「……ほ、ホントだよバカ!デニスくんのバカ!」

りありーって何だっけ、って思ってしまった。ホント英語ダメだから止めて欲しい。いや、できればデニスくんとはもう会話したくないんだけど。ナンパ野郎はお断りです!デニスくん見るからに軽そうだし余計だ。まだ数回しか話したことないのに、とても失礼だとはわかっているけど、初対面でファーストキスを奪われた私の気持ちもわかってほしい。

「それは良かった!なら今までもこれからも、なまえは僕だけってことだね」
「……は、あ?」
「さっきの、My birdはスラングで『可愛い子』『恋人』って意味があるんだよなまえ」
「…だ、だから……?」
「僕と出会った時から、君は僕のGirlってこと」
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