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魔女の森任務報告


◆任務2日目

  ガラル軍 総隊長執務室


総隊長、ただいま戻りました。
結果を報告します。

おお、2人とも、お疲れさん。
んで、ようこそ、お嬢さん。

こちら、ブリムオンのフレデリシアです。

……どうも。

おー、うんうん、原石って感じか。

何のことですか?

いやいや、お嬢さん、あの森にいた割には力の扱いに慣れてそうな……

分かるんですか?

うちで訓練すればお前たち並みに力をつけることができるってこともね。

……!

へぇ!すごいなフレデリシア!
総隊長のお墨付きだ!

ま、まだ分からないわよ……

総隊長が言ってるんだから大抵そうだよ。

大抵って!

フレデリシアは森の結界の外に出て外敵と戦うことも何度かあったんだよな。

ええ。

なるほど、戦力となってたんだな。
報告がてら、君たちのことも少し聞かせてくれ。

……はい。







これで誘拐事案、派生してヨノワールとの対峙の顛末です。

うん、ご苦労だったな。

あのヨノワールのことはよく知らない。
第三部隊が追ってるんだろう?

ああ、今はまだ情報が途切れ途切れでな、もう少しまともな形になったらお前たちに共有する。
それまでは、お前が経験し取得したもので我慢してくれ。
聞いた限り、今回有力な情報はヒデリという、肉体の元の持ち主の名前、仲間にシャンデラの女、現在は姿を変えている可能性があるということだ。

新しい肉体に乗り換えているかもしれないってことか。

その可能性は高い。
……生きた人間に入り込み元ある魂を追い出すか、死後間もない遺体に入ったか……

そうか、さすがに腐敗の進んだ遺体に乗り移っても意味が無いだろうな。
支障しかなさそうだ。

切羽詰まってもそちらには入りたくないだろう。
入るなら、やはり生身の、それも完成された体の方がいい。
ヒデリというのもそうだった。体つきもしっかりしている成人男性。

ああ、今考えても簡単に浮かぶ。
魂となってシャンデラの女に運ばれるとしても、なるべく早く次の肉体に入りたいだろう。
……そうなると、シャンデラが調達するのか?

どうだろうな。
……あのランタンで生きた人間から魂を抜きとることができるというなら、無傷の依代を入手できるだろうが。

……ヨノワールはお前に乗り換えを手伝わせたんだよな。
魂を留めることができなくなる程度に肉体が破壊されることによって、離れることができるということなのか……?

あるかもな。
ただ、あの時のは嫌がらせだと思う。
8割がた。

トウヤくんメンタル攻撃されてんの〜

うるさい。

総隊長、こいつ結構気にしてるからつついてやらないでくれ。

あっほんと!

うるさいって。
あんたも知らなかった風に言うな。
あとの2割は手っ取り早いとかそういう所だろう。
未知の能力持ちが、人の魂は触れるが自分の世話はできない、なんてくだらないデメリット持ってるか?

まあそれくらいできるかもな。
魔法に少し目が肥えたような気がする。

まだまだ、あの森には居るんだろう、魔法使えるやつが。

フレデリシアに教えてもらお。

さてさて、考察はこの辺で。
これも含めて関係部隊には俺から伝達しておくよ。

頼む。

それじゃ、デッドラッドの見舞いにでも行くか。

ああそうそう、見たよ、スパッと綺麗にいってたね。
逆に繋がりやすいんじゃない?

冗談じゃない。

ごめんて。
まあ本人も最初に比べれば応急処置のスキルが上がったんじゃないか?
プラスに考えよう。

怪我を治す以前の問題だ。
負傷を肯定しないでくれ、アイツには余計に。

ほんと大事にされてんな〜。
俺もそれくらい大事にされたい。

任せたイーリス。

遠慮するよ。

ええっ、断るの早くないか?
イーリスも冷たい!

父と子に割っては入れませんよ。
さ、行こうかトウヤ。

ああ。
フレデリシアも来るか?

えっ、あ……ええ、連れてって。

総隊長がふざけて悪かったな。

酷い言われようだ。

い、いいえ、大丈夫。
意外だったけど……

だろうな。
代表でもうちの代表は軽口が多いからな。

イーリス!
俺、ここにいるから!
聞こえないとこで言って!

ああすみません、聞こえてましたか。

……総隊長いじり……?
恐ろしい……

なんてことない、ただのおっさんだ。
さっさと行こう、こっちだ。

うん……

パパ寂しい……






  ガラル軍 デッドラッドの自室


デッドラッド、調子はどうだ?

おおっ、お疲れ〜!
全然なんともねぇ!
もう肉はつながってっから!
一応骨が完全に継ぎ目無くなるくらいまで大人しくしろって!

おお、いい子にしてるじゃないか。

声がデカい。

んっ?
……え!!?
何なに!?
あっちにいた嬢ちゃんじゃん!?
なんでここ居んのー!?

えっ、あ……しばらく、こっちにいるの。

はっ!!!??
マジで!!?
えっなんでなんで!
なあとーや、イーリス、なんでだ!!?

ちょ、落ち着けwww
フレデリシアが引いてるぞ?

情報提供者兼、訓練隊員だ。

訓練……えっ!
もしかして今日からガラル軍!!?

……軍人……というか、自分の力の使い方を教えてもらおうと思って……

そういう条件で、外に出してもらってるって感じだな。
向こうの代表の許可が出たということだ。

ええー!
すげ!あの意地張ってるお嬢ちゃんが応じたんだな!

お嬢ちゃん……!?

お嬢ちゃんか〜(笑)

代表のことそんな呼び方する人、初めてよ。

まあなかなかデッドラッドより生きてるやつに会うことはないだろうな。

だ、代表は百数十年生きてるって聞いてるのだけれど……

んなら俺のが年上だな!
俺は〜、よく覚えてねえけど、絶対300はいってる。


あなたも長命なのね……!

あー、詳しく言えば、長命より不老不死ってのが正しいかな。

ふ、不老不死……!?
って、おとぎ話に出てくるアレ……!?

えっマジ?
おとぎ話あんの?

えっ?
あ……ええ、うちの地域だけかもしれないけれど……

へーそうなん!
俺が住んでたのラテラルの遺跡だし、そんな遠くない場所だからそのおとぎ話の不老不死っての俺だったりして。

それはどうかしらね。

個人的にゃ、俺以外の不老不死は聞いたことないんだけどな。
ま、そんなもんで、大体20歳くらいの時の見た目のまんまだよ俺。
そちらの代表よりも年上。

そうだったのね……

あんまし歳とか気にしねぇけど!
じゃあ、お前はしばらく訓練隊に所属って感じか!

そうなると思う。

たまに、情報共有のために森へ帰るけれどね。

なるほどねー。

その時は俺か運び屋のリーダーが送迎する。
向こうの代表も、それなら少しは安心だろう。

ごめんね。

気にするな。

そうだ。
私たちが望んだことだ。
ここでは自由にするといい。
暇があれば軍の外でも案内しよう。

……ほ、ほんとに、自由に外出できるの?
外のお店とか、総隊長の許可が降りるかしら……

えー、んな許可いちいち取ってられねぇよめんどくさい!

め、面倒……?

ああ、誰かに外出が伝わってれば十分だ。
所属の隊長にでも声掛けとけば問題ない。
緊急時でない限り隊長に外出を禁止する権限なんて無いしな。

そ、そうなの……?

外に出る許可は出なかった?

ええ……。
何度か伺ってみたけど全部却下されたから、途中から諦めてたわ。

束縛とか無理だわ〜
俺なら絶対勝手に外出る。

そんなことしたら二度と森に入れなくなるわよ。

君たちを守るためとはいえ、少しばかり窮屈だったろうな。
外に出たいと望むものであれば尚更。

……うん。

無事ここと森を行き来できる条件を取り付けることができたんだ。
思い切り活用して、君の感じたことを森の子達にも伝えてやるといい。

……きっと外に興味を持つ子が増えるわ。
そもそも、アンシェラも凄く来たがってたわよ。
あなたとデートするんだって。

イーリス告られたん?

んー、一緒に出掛けようと誘っただけだよ。

……。
イーリスって、女たらしよね。

分かる。

分かるのか……。
まあデートでもいい、彼女が外に出ることに対して前向きならこちらとしても嬉しい。
私たちの目的のひとつだ。

イーリス、後でフレデリシアに軍の中を案内してやってくれ。

お、そうだな!

あと、巡回ついでに街を見せてやるといい。手始めに。

おお、いいな!

巡回?

街に異常がないか、見て回るんだ。
管内把握だ。
どの家に何人住んでる、どういう店か、住宅の分布の把握、土地感の養成なんかを目的とする。
これが分かってると現場の把握や救助に必要な人員の判断もしやすい。

……。
そのために、あたしたちの森の様子も知りたいって言ってたのね。

そういうことだ。

……あなたたちって……

……どうした?

あたしたちのこと信用しすぎじゃない?
善良な市民と思い込んでない?

善良な市民……、まあ、そうだな。
君たち、私たちに攻撃したっけ?

……してない。

じゃあ善良な市民だろう。
善良と言えないような態度はとっていないんだから。

……魔女の噂って案外出回ってないの?

んー、出回ってなくはないけど、噂は噂だ。
私は君が噂と合致している部分は無いと思ってる。
これは面と向かって話をしているからそう分かるんだろうがな。
ただ君があそこにいたことは外にいるほとんどの人間が知らないし、自ら言わなければ疑いようがないだろう。

……ええ。

ブリムオンがあの森にしかいないわけでもないし。
他の子だってそうだ。他人から見れば、君も私もそう変わらない。

……。

大丈夫だよ、怖がる必要は無い。
周りなんか気にせず、堂々としよう。
私達もいる、君は君のやりたいことをやるといい。

……うん。
……私のやりたいことをやる。
だから……手伝ってね。

ああ、任せろ。

ほんっとイーリスってばお人好し〜!

相手のためばかりではないさ。
私がやりたいことでもあるってだけで。

俺お前にちょい親近感湧いてんだよね〜!
俺も誘われた身だから。

誘われた?

ああ、前言ってたな。トウヤにな。

そうそう。
俺もラテラルの遺跡でずっと閉じこもってたんだわ。
だけどたまたまトウヤが俺んとこ来て、うちに来ないか?って聞いてきたんだよ。
っていうかそのときは俺が完全に制圧されてたんだけどな、めちゃめちゃ強くて、逆にこんなやつがいるところなら面白ぇし飽きねーんじゃねぇかって……!
んで、あそこから出て、ここへ来てから、仕事は結構面白いし、訓練設備があるから毎日ってくらいとやとバトルしてたし、仕事でも助けたやつからは結構ありがとうとか言われること多くて、なんかすげえ、嬉しかったりさ〜

そうなんだ。

考え方は変わったと思う。
最初はここのやつらにも厄介者って感じで白い目で見られててさ、そんでも、仕事ちゃんとやってたらそれもいつか無くなってた。

……!

お前もなんとなく頑張ってりゃ大丈夫だって。
結果は勝手についてくるもんだ。
もしかしたら、魔女の噂自体も、お前が変えられるかもしんねぇな。

……!
……ええ、そうね。
……。
ありがとう。

ふふん!
てことで、仕事でもし俺と組むことがあったらよろしくな!

ええ、こちらこそ。




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