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魔女の森任務31


◆任務2日目

  ルミナスメイズの森 マリアの館内


私は、軍を信用していません。
軍という組織を構成する要素全てがあなたのような者ならばあるいは、ですが。
それが有り得るならば、早いうちにこの隔たりを解消することができたかもしれません。

……それでも、向かうべき方向は決まっています。
今後は積極的に関わっていきますよ。
まず、ここ周辺には常に隊員を置き、警備にあたらせます。
もしここで何かトラブルが起きたとしても、声をかけてもらえればすぐ認知して解決のため応援を呼ぶなどの対応が可能です。
感知タイプの者を置けば、悪意のある者の侵入を防げます。

……。
結界より内側に入るものでなければ、好きになさってください。

ありがとうございます。
また、内側についてですが、別の提案をします。
こちらとしても、内側の把握が何より重要だと考えているのですが、常時軍を入れるのがまかりならなければ、情報だけでも提供ください。
なんの情報もなく緊急時に対応のため臨場するのは迅速な任務遂行に支障を及ぼします。
そうですね……森のどなたかに、軍に来てもらえないでしょうか。

何を……仰っているのか……

情報共有のためです。
こちらが中に入ることができないのであれば、そちらから来ていただく他ありません。
軍の寮に入ることも可能です。
そちらからの情報を受け取り、こちらも情報を提供します。
それを森へ持ち帰り広めるのも結構です。

軍に身を置けと言いたいのですか。

軍に入れとは言いません。
言うなれば、ここと軍の行き来を了解願いたい。

……。

そうするのがあなた方のためになるとも思っています。

あなたの考えが実際にそうとは限りません。

もちろん、必ずしもそうとは限りません。
ただ、ここに留まる器でない子もいるのではないでしょうか。

どういう意味でしょう。

来ていただく方の身の安全は保証します。
さらに、軍では似た能力の使い手に力の扱い方、戦闘の基礎や応用を教示可能ですので、護身になるはずです。
いいえ、自身のみならず、ここにいるみなを守れるほど力をつける子もいるかもしれない。
それに、他の地域地方で大きな活躍をする子も出るかもしれない。

……。

ここに閉じこもることはない。
あなたたちが隠れる必要は無いんです。

望んでこの選択をしたのではありません。
自分の身ひとつを守るのとはわけが違います。

外に出たいという子を頑なにここに縛り付けるほどの脅威は、今は無いはずです。
結界の外には隊員を常駐させます。
あなた方に危害を加える者を、見過ごすことはありません。

……。

言いましたが、あなたが全て背負う必要は無いんです。
代表としてここの者みんなを統率し、外敵を感知、排除し続けるのは大変なことです。
あなたの責任ではありません。肩の荷を下ろしてください。

……。

……もしそちらで、軍へ情報提供に来てくれる方がいれば、一度話をさせていただきたい。






代表、私、外に行きたい。

……フレデリシア……

マリア様、私も……!
私も外に……!

アンシェラ……あなたまで。

私、イーリスさんのような素敵な方が外にいるなんて知らなかった……!
外にはあんなに優しくて気持ちのいい方もいるんだと……
トウヤさんも、キーウェンも良い方だったわ。
ミリアも、初対面であんなに懐いていたもの。

あなたは少し浮かれすぎよ。

うふふっ、そうかもしれません。
イーリスさんとお話するのが楽しくって、今日限りで会えなくなるのはつまらないと思ったんです。

……全く。

外の世界……この中で留まるんじゃなくて、広い世界に出て色々学びたいの。
ここが嫌いなんじゃないわ。大好きだから、もっと良くしたいと思うの。
ここが魔女の森なんて言われて、私たちを怖がったり、燃やしてしまおうとか言う人もいた。
危害を加えようとする人達から、自分の身は自分で守り、家族みんなも守りたい。
だから、その術を知りたいの。私は何も知らない。
自分の力をもっと上手く使えるようになって、それで、ここに戻って、みんなに教えてあげられるようにしたい。
……知らないでしょうけど、これが私の、夢なの。

……。
そのくらい、知っていますとも。

……え。

あなたはいつも、魔女の力の古書ばかり読んでは実践し、自分の力を試していたでしょう。
人一倍勉強熱心なあなたは、いずれここを出て行ってしまうものだと思っていました。
そうしなかったのは、私が、一度外の世界へ出た者は二度と戻らせないと決めていたからでしょう。
……確かに、私はあなたの探究心や夢を、妨げていたのです。

……いいえ、代表が何より私たちの身の安全を優先していることは重々承知してるわ。
私はまだまだ未熟だから、体で、頭で、たくさん覚えて身に染み込ませなきゃいけない。
代表の意向にそぐわないかもしれない。
それならこの選択は正しいのかと……、私自身が躊躇っていたの。

……。

でもイーリスが後押ししてくれた。
私だって外の人間に良いやつなんていないって思ってたわよ。
でもそうじゃないって分かった。知らないことだらけ。
それを知っていくことこそが経験、私の力になる。
外の世界のことも、能力の伸ばし方も、たくさんの事が学べるはず。
その場所を、イーリスたちは提供してくれる。

ここも、私たちも守ってくださると……!
私はイーリスさんたちを信じています……!

……。

……代表、軍へ情報共有の役目は私が務める。
そして軍の持つ知識を、私が持ち帰ってくるわ。

……。

私も軍へ行きたい……

アンシェラはイーリスとデートしたいんでしょ。

も、もう!
せっかく真面目にお願いしてるんだから言わないで!

ふふっ、ごめんなさい。

……いいでしょう。

……!

ただし、アンシェラは許しません。

えっ!!?

……まだミリアが小さいんですから、1人で留守番させても問題ない程度になってからでないと、あなたを外に出すことは認めません。

ぇえーっ!

……それもそうね。

フ、フレデリシアまで……!




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