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魔女の森任務24


◆任務初日

  ガラル軍 2階バルコニー


辛気臭い顔してさ。

クスケ……

お疲れ。
やっぱ誘拐だったんだ。
女の子、見つかって良かったね。

あー。

……んで、お前はなんで夜風に吹かれてるの?

別に、いいだろ、おかしいか?

うん、おかしい。

ん……。
そんな気分だっただけだ〜!

ふーん。
まあ、今回の任務、ほぼ戦闘無しで終えられたから良かったよね。

……あー……、そうだな。

ふーん。

……な、なんだよ。

お前は自分のことに関しては、急に不器用になるからさ。

何が言いてえんだよ。

お前は自分の中に溜め込むのは向いてないってことだ。
俺とお前は違うからさ。

んだよ、テメェのマネしてるわけじゃねえっての。

聞いたよ、さっき連行してきた誘拐犯のこと。
ゲンガーだってね。
催眠術が得意らしい。
……もしかして、油断したんじゃない?

……うるせー。

別に、お前の口から聞かなくても、お前が何を見せられたかくらい分かる。
それが原因で、こんな所で感傷に浸っちゃってるってことも。

……腹立つ。

本当は嬉しいくせにね。

……。(クスケをじっと見る)

お前は、自分を理解しようとされることが心地いいんだろう?

……。

俺は得意だよ、そういうの。

ドヤってんじゃねーよぉ。

ドヤってねーけど。
とやに心配かけたくねえなら俺に言えばいいだろう?

……。

躊躇う必要ないだろ。
お前の大好きな自慢の彼女ちゃんたちの話だろ?
もうお前の口からよく聞いてるじゃん。

……。
気付いてんなら聞く必要なくね?

そんなに言いたくないの?

……そういうわけじゃ……、よく分からねぇ。

ふーん。
……じゃあ、今日の仕事でも褒めとこうか。
女の子助けることができて偉かったね。(なでなで)

……褒め方ガキ臭いわ。

と言いつつ大人しく撫でられてるじゃんね。

撫でられてやってんだよ。

嬉しそうじゃん。

どこが!
テキトーなことばっか言いやがって!

見たまんまなんだな、これが。

うっせ!
お前マジで変人って呼ばれてるヤツらとそう変わんねぇくらい変わってんぞ。

えー、どの辺が?

ど、どの辺?
……なんとなく。

はははっ、説明できないのか。
確かにお前とは違うからな。
俺は人を心地よくさせるのが得意だって言っただろ?
相手の感情に合わせて口調や雰囲気を変えて話してるから……相手の気分も良くなって、良好な関係を築けるってもんだ。

……これだから人タラシはよォ。

世渡りが上手いんだよ。
……まぁでも、そりゃお前のことは特別可愛がってるけどね。

……。
んぁああッ、そういうとこだぞ!?
いちいちたらし込むんじゃない!(照)
恥ずかしい奴だな!

ほら見ろ嬉しそうに。

うるせー!
この角野郎!(両角掴む)

こらステイ、大人しくしろ。
お前の記憶を抉りたいんじゃないんだよ。
お前、さっき誘拐犯持ってきて雑に説明して出て行ったろ。
もう少し詳しく聞かせろって。

ああん?
んだよ、先に言えよ。

お前が寂しそうにしてたから優しくしてやったんだろうが。

はッ、いらねぇ〜!!!
なに、もっかいあっちで説明しろって?

そーそ。
ついでに昼に襲撃に遭った件も説明しとくから。

ぁあっ?
襲撃?

それも説明するから。
説明しようとしたのにさっさと出て行ったお前が悪いんだぞ。

ちゃんとそう言って止めろよォ。
んじゃ、はよ行くぞ!

慌てるな、話は各部隊長が揃ってからだ。









  ガラル軍 総隊長執務室


ちょうど情報共有のため戻ってきたトウヤも含めて話を進める。
一通り連行した者の尋問も終わったから、その結果も総括する。
まず今回の任務の大筋だが、ルミナスメイズの森に定着している魔女の森の者たちにかかる誘拐事案対応。
端緒は、昨日の、魔女の森の代表により発せられた警告。
魔女の森から一定の距離にいる不特定多数の人間に脅しをかけたものだ。
その警告を、うちの隊員も数名受け取った。
まず事実確認が必要だったため、先行して第一部隊の3名に、魔女の森への接触を命じた。
同時に、第三部隊の2名にルミナスメイズの森周辺の調査を命じた。
無事魔女の森の者と接触できたため、協力を要請し、被害者の捜索と誘拐犯の確保に移った。
捜索の末、女の子を保護。
保護以前2時間弱の間に、第三部隊隊長により、魔女の森内部において2名、ガラル軍本部において2名の本件に関わる侵入者を確保、連行。
女の子を保護する際、第一部隊隊員が誘拐の実行犯を確保、連行している。
トウヤからの情報によると、被害者の女の子は未だ目を覚まさず。
外傷は無いが、呼び掛けにも応答せず、誘拐犯の手かによって細工がされているようだ。

ハッ、原因も分からねぇのかよ。

原因だが、判然とはしないが、女の子の体または意識が乗っ取られている可能性がある。
魔女の森の代表の見解によると、女の子から「別の人間の気配を大きく感じる」らしい。

代表曰く、女の子には魔法と呼ばれるような能力は持っていなかったそうだ。
ただ、通常その能力は全ての人に先天的に備わっているものではなく、後天的に発現する者もいれば、生涯持たない者もいるらしい。
今回の被害者が後天的か否かは、代表にも判断がつくものではない。
発現を予測の上、更に発現する能力がそいつらにとって価値のあるものだと分かっていなければ、こんなリスクの高い行動はできないだろう。

そうだな。

……。
何かが入り込んでいるなら、感知できるかもしれない。
だからデッドラッドにも、被害者を見てほしい。

……俺?
でも、女の子見つけたの俺だけど、特に何も感じなかったぞ?

……気が動転してたんだろう?

ちょ、それは言うなよ……

気にするな。
とりあえず見てほしいだけだ。
他にも感知タイプの力を持ってる人間は来てもらいたい。

なるほどな。
じゃあここで犯人と関係者の尋問から得られた情報を整理する。
まずはここを襲撃したやつらだ。
2人のうち1人はギャラドス、もう1人はニドキング。
2人ともここを襲撃した理由は同じだった。
命じられたからだ。厳密に言えば、つるんでるグループの上位者から、面白いことができるぞって唆されたんだ。
ここがこのタイミングで手薄になってることを知っていた。
つまり誘拐の事実を知っていた。
その上位者というのはすぐ分かった。
魔女の森内部で捕らえたバンギラスの男だ。
バンギラスの男は、その2人に時間稼ぎをさせたみたいだ。
自分が魔女の森を襲うため。

確かに、安っぽいチンピラ程度の小物でした。
金出して雇った者の方がまだ時間稼ぎはできたと思います。

あっはっは!
ナンバーが2人とも対処したが、取るに足らない雑魚だったな。
総隊長を意識した人選だったみてぇだが、まずは隊長を相手にできるやつを連れて来いって話だ。
なぁ、ナンバー?

ふん。

魔女の森の方も対応してくれたもんな。
そうだ、カビゴンの男は、バンギラスの連れだったが、野生に近い生き物だった。
食人を行っているから、暫くは拘束して様子を見ておく。
思考は単純だから、バンギラスの男の指示に従うくらいの脳しかない。
調教でもしておこうかと思う。

ゲンガーのやつは、どうだった?

あれは、バンギラスのいるグループには属していないようだった。
だが、協力関係ではあったらしい。
元々バンギラスの魔女の森襲撃という計画があって、ゲンガーがそれを利用した形だと思う。
バンギラスは、ゲンガーの企みを知っている訳では無いが、ゲンガーが隊員を引きつける事を条件に、ゲンガーの指示通りのルートから魔女の森へ侵入、襲撃した。

その指示があったから、あいつらは侵入できたということか。
であれば、ゲンガーの手で女の子を攫うことも、不可能ではないな。

攫う行為もゲンガーの仕業でほぼ間違いないだろう。
……ただ、ゲンガーの尋問だが、本人は黙秘する上、記憶を辿ることもほとんどできなかった。
記憶を見せないようにしている。

そんなことができるのか?

本人が無意識にシャットアウトするのはなかなかできないだろう。
俺はそれよりも、ゲンガーのバックに大きい存在を感じる。
そいつが記憶を見せないように遮断しているし、今回の誘拐の件の黒幕レベルで大きく関わっているような気がする。

……うちのキャスティが見たっていう複数の顔っていうのは、やはりゲンガーか。

恐らく、ゲンガーの力だろう。
ナイトヘッドで間違いないと思う。
少なくともバンギラスよりも賢い。
足止めの細工と同じようなものだ。
ただ遠隔で技を繰り出せるのも特殊だ。
デッドラッドが急いで連れ帰ってきたのも分かる。
扱いには注意すべきだな。

なるほどね。

これから数名、魔女の森に送り込む。
ぞろぞろと申し向けて、代表には失礼だが、よろしく伝えておいてくれ。
事が済んだらご挨拶させていただく。

了解。




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