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魔女の森任務19


◆任務初日

  ルミナスメイズの森 魔女の森 マリアの広間


……シンゲツ、そいつら死んでないよな……?

死んでいないと思いますよ?
起こしましょうか?

いや、いいよ。(飛び起きるようなことでもするんだろうな……)

……イーリス、大丈夫なの……!?(駆け寄る)

ああ、フレデリシア。
すまない、今までにガッツリ対人戦闘はしたことなくてね。

へっ!?
そ、そうなの!?
な、何よ、あんなに余裕ぶってたくせに!

相手に手の内明かしちゃ警戒してくれないだろ。
ぶん投げて外に出すこともできないし、この建物から出てくんないし、被害を少なくするためには私が受け止めるしかないから……
膠着状態が続くことを祈ってたよ。
バンギの拳ってやっぱり重いな……吐くかと思った……

見てたわよ!?
あれやっぱり痛いんじゃない!
あんなの食らったらあたしなら卒倒してるわ!

あはは、殴るのは得意じゃないが、受けるのはなんとか……。
体鍛えててよかった……

もう、無茶しないでちょうだい……!
……でも、イーリスがいてくれて助かったわ。
私たちじゃ相手なんてできないもの……

すまない、私がいても、私だけでは片付けられなかった。
本当に君たちが来てくれなかったらまずかった。
ありがとう、シンゲツ。

礼には及びません。

さっきはありがとう。
アイツのストーンエッジ、全部止めてくれたでしょ。

ナンバー様のご命令ですので。

命令だからってなかなかできる芸当じゃないよ。

ご命令ですので。

ふふっ、命令だったらなんでもできるの?

ナンバー様のご命令とあらば。

……君とナンバーは一体どんな関係なんだ?

それはお答えできかねます。

そうか、それは残念だ。

……でも良かった、イーリスが無事で。
あ、私たちも、セイルも大丈夫よ、さっきので怪我人はないから。

ああ、良かった。
殴られた甲斐もあったってもんだ。

それにしても、あのエースバーンの男……

ナンバーだ。
ガラル軍の第三部隊の隊長。

隊長なの?
あなたも隊長よね?
同じ隊長でも随分と印象が違うのね。

あー、まあ隊長にも色々あるさ。
あいつの方が隊長らしい。
軍の隊長は名ばかりのところも多いんだ。
会議に出るのが隊長ってくらいだ。

それにしてもあのナンバーってのは……正直アイツも敵並みに恐ろしいヤツよね。
あんな戦い方するなんて、見たことないって言うか……野蛮というか……

うん、大丈夫、私もビックリしたよ(笑)

イーリスも!?
あ、アイツが少数なのよね、きっと……

そうだろうな。
腹でも立ててたんじゃないか?

敵に?
腹立ててたというか……憂さ晴らしというか、八つ当たりというか……

傍から見てればそりゃヤバいやつだよな、煽りながらショットガンぶっぱなしてれば……
まあでも、後ろを気にする冷静さはあったんだ、ちゃんと考えて動いてるんだと思うぞ?

そうなのかしら……楽しんでただけじゃない……?

あまりナンバー様を擁護される方はいませんが。

そうか?

ほとんどの方がナンバー様に対して良い印象をお持ちでないので。

隊員にそんなふうに言われるなんてね。

まぁ私も煽られた記憶はあるが。
というかその煽りに対して説教してしまったんだが。

説教(笑)あんたやるわね。

口悪いのは直ってなかったみたいだけどな。
さっきはあの時よりまともに会話できた気がする。
一緒に仕事することも出てくるだろうし、色々アイツのことも聞いとかなきゃな。

あたしアイツとまともに会話できる気がしないわ。

アイツは女癖悪いらしいぞ。
裏を返せば初対面の女の子には優しいってことなんじゃないか?

物凄く良い解釈するわね。
あなた煽られたんでしょ?

私は男みたいなもんだし……?
説教垂れて、嫌ってるくらいじゃないか?

ふーん?
でもさっきずっと抱えられてたじゃない。
嫌いなやつあんなに抱えないでしょ。
というか、なんか揉めてた?

ああ、ナンバーとシンゲツはもう帰るって。
それで私も一緒に帰れって言われた。
私にはまだやることがあるから断ったが……私の仕事はこれからなんだよな。

……。
あたし、外に出たいから。
変わんないわよ。


ありがとう、それだけですごくやる気が出た。
私のエゴじゃないかって、ナンバーにも言われてさ。
そうじゃない、私がこれからすることは、意味があるんだ。

もちろんよ!
こんな小さな森の中に閉じこもってるなんて、あたしは嫌よ!
アンシェラだって、あなたとデートするんだって楽しみにしてたもの。

あははっ、デートか!
うん、しようしよう!
いつでも会えるように……。
きっと、分かたれた父と母子も、再会できるようになる。
外へ出る出ないは君たちの自由だからな。
自分の未来を選択してほしい。

イーリス。

おっ、ナンバー!
話は済んだか?

……。
敵が来たタイミングってのは、偶然とは言えねぇ。

ん?

面倒ごとはごめんだってんのに、全部押付けやがる。
……イカれたやつのコントロールならやむを得ないが、馬鹿の行動を四六時中監視することはできねぇ。
お前が傷付いた理由はそれだ。

……。
何を言ってるのかよく分からんが、違うだろう。
私が負傷したのは私が弱かったからだ。
お前が気に病む必要は無いぞ?

気に病んでるわけじゃねぇよ。
責任だ、隊長である限り。
俺にお前を守る責任はないがな。

なるほど?

あとお前が弱いのは本当だからな?

あっはっは、仰る通り!

非戦闘員だったとか元々戦闘に向いてないからなんて、理由にならねぇ。
どんな場所にいても、どんな業務を持っても、どんな種族だとしても、あの小物程度なら秒で制圧できるべきだ。

諌言耳が痛い。

相手がお前に興味を示さなかったら、猶予もなく殺されてたぞ。
いいか、俺は無能は死んでも仕方ねぇと思ってる。
有能は手を出さなくても1人で片付けられる。
今回のお前は運良く生き残った無能だ。
交渉だけがお前の仕事じゃねぇ、お前は既に行動隊だ。
イキったゴミを叩き潰して返り討ちにすることもできねぇヤツ、隊には必要ねぇんだよ。

……ムキムキか……

あ?

ムキムキになれということか。

いや違う。

筋骨隆々の私、どうだ。

やめろ気色悪ぃ。

ふふっ、ありがとう、私のために諭してくれたんだな。
大丈夫だ、身を以て体験したからな。
私に足らないのは圧倒的に力、戦闘スキルや、経験……対人戦への心持ちも必要だ。
なかなか人に攻撃するということに抵抗がある。

行動隊が相手にするのはポケモンばかりじゃない。
命取りになるぞ。

まさに今回がそれだ。
よく分かった。
訓練を積むよ。

……チッ、俺の下に来りゃ守ってやれんのに……(ボソッ)

ん?

俺は帰る。
お前はやりてぇこと勝手にやってろ。

おう、ちゃんと仕事して帰る。

シンゲツ、戻るぞ。
そいつら1度でも騒がせたらお前らまとめて殺すからな。

承知しました。

殺すな……

……。
……イーリス、悪かった、来るのが遅くなった。

いや。
しかし、どうしてこっちに来たんだ?
こっちに敵が来るのが分かってたのか?

……まぁ、可能性はあったが、ほとんど勘だ。
念の為、備えあれば、という所だ。

なるほど。

……。
……俺はしばらくここにいる。
敵がまた攻めてくるのかと言われれば、分からないが、また同じようなやつが来たとしても、彼女たちはもちろん、もう建物だって少しも傷付けさせない。
お前もな。

……。
捜索の方は、大丈夫なのか?

キーウェンとデッドラッドに指揮を任せた。
2人でやれる。
それに、俺がいたところで足しにならない。
日が暮れてきた。
夜間に飛ぶこともあるが、やはり夜目が利くという程でもない。
2人とも、夜に強い。

そうか、分かった。
とりあえず、マリアさんと少し話をしてくる。
お前は……

それならミリアの所に行きましょ。
さっきの騒ぎで怖がっちゃってるから、そばにいてあげて。
他にも小さい子がいて、全部に付いてあげられないの。

いいじゃないか、お前子守り得意だろ。

得意じゃない。
……他の子供は俺を怖がるんじゃないか?

小さい子は怖がんないわよ。
大人はそうかもね。

……。
怖がらせたいわけじゃないんだが……

分かってるわよ。
初対面の人間を怖がるくらいおかしくないでしょ?
あたしは怖がってないでしょ、それで良くない?ミリアがあんたを怖がってないって分かれば自然に怖くなくなるわよ。
グジグジ言ってないで来なさい。

……はぁ、行ってくる。

あはははっ、よし、行ってこい!(背中ペシペシ)




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