◆任務初日

　　ルミナスメイズの森　上空　輸送中

パルスワンのラピートと申します！
3ヶ月前に入軍して、現在は訓練隊員として日々訓練に励んでいます！
以後、お見知り置きいただけると幸いです！(最敬礼)(クソデカボイス)

うっ……(耳キーン)
もう少し声のボリュームを下げてくれ。

あわわわわっ、失礼いたしました！

うるさい。

ｱｯ、失礼いたしました……っ(小声)

中の声、結構よく聞こえるらしいぞ。

ああっ、そうなんですね！
すみません、僕、箱に乗せていただくの初めてで……！

まあいい。

俺はデスバーンのデッドラッド。
トウヤと同じ第一部隊だ。

よろしくお願いいたします。

んでこの運んでくれてんのがトウヤね。

トウヤさん！
お噂は聞いております！
長年軍に勤めておられて、事案対応のプロフェッショナルだとか！！

……俺は聞いたことないぞそんな噂……

安心しろ、私もない。

……あっ、あれれ……！？

誰から聞いたんだその話……

訓練隊員の間では皆さんそんな話を……！
意外と物腰の柔らかい方で驚きました……

その噂の中でのトウヤ、どんな奴なん？

どんな事案でも的確に対処法を割り出しては隊員に最善の行動を指示する、機械のような人だと……！
同じ隊の者へも厳しく、無駄口も叩けないような威圧感で……時には殴る蹴るなどの指導も……

おいおいおい、待て待てwww
それ誰かさんとごちゃ混ぜになってないか？

少々聞き覚えがある。

あれっ、違いますか！
いえ、確かに今お会いしたのと印象が随分と違うなと……

殴る蹴るはしないぞ。
事案対応のとこは分かるけどさ……あと、俺的にはおしゃべりしないのも残念かな。

お前の好みに合わせる気は無い。

ちぇっ

ところで私は第三部隊、モスノウのラカルト。
噂の言う暴力的な人物はうちの隊長だったりするかもな。

だ、第三部隊の隊長殿ですか……！？

エースバーンのナンバーだ。見たことないか？

あっ、もしかして……
この任務に着く前、先輩がダイマックスバンバドロの対応から帰ってきたんですけど、すごくしょぼくれてたんですよ。
軍辞めろって言われたって……

あ、それそれ、見たわそれ。
俺もちょうどそれの対応しててさ、アイツがバンバドロの頭に蹴り1発入れて、その帰りに邪魔だって捨て台詞吐いて帰ってった。
それがナンバーだよ。

アイツまた……

うさ耳付けた仏頂面見かけたらそいつだと思って(笑)
さっきは言い放って行っただけだけど、いつもはケツ蹴り上げたり頭掴んで放ったりしてるから、気をつけろよ〜

そ、そんな恐ろしい方が……！
あわわわ、僕なんて何だって言われちゃいますよ……

気にすることねぇよ。
あいつの理想がちょっと高いだけだと思うぞ。
知らんけど。

あははは……ありがとうございます……

今回はお前を頼りにしてる。
一応対象の遺物も貰ってる。
うちのキーウェンがそれ持って待機してるから、到着したら受け取ってくれ。

はいっ、了解です！

私は空から捜せばいいか。

そうだな。

お2人とラカルトさんは仲がよろしいんですか？

……。
いや、別に……

えっ？

仕事仲間だな。
たまに班を作って当たる任務に一緒になるくらいか。

そうなんですか。

まあ俺は嫌いなやつじゃなけりゃいくらでもお喋りするけど〜！

お前はそうだろうな。

仲良くお喋りしてらっしゃるので、ご友人同士かと……！

たまたまさっき会ったんだ。

そうそう、この任務に就くように総隊長に言われてさ、ラピートは連れていくとして、あともう1人くらい乗せてけるなって話になって。
じゃ総隊長室出て初めに会ったやつ連れてこって〜

……で、最初に通りかかったのがラカルトだったってことだ。

なるほど。

そうなんですか〜、ってラカルトさんも初耳ですか！？

魔女の森関連の人捜しだというのは聞いた。
警告の件も耳にしていたからいずれ呼ばれるとは思っていたから、2人に私が選ばれた経緯には興味が無かった。

そ、そうですか……

まあ、今聞けば、第三部隊が比較的総隊長室に近いし有り得る話だ。
ナンバーと出逢っていたらどうするつもりだったんだ。

そりゃもう……

ノーカウントだ。

だろうな。
第一部隊はみんな仲が良さそうだな。

そっちより良いのは確かだろうな。

ラカルトはナンバーのこと好き？嫌い？

変な質問だな。
……私は特に何も言われないし、本人の人あたりにも興味が無いから、嫌いだとか好きだとか、どちらかに片寄った感情はない。

非の打ち所が無ければ、口出す必要も無いからな。

ではなぜお前は嫌われているんだ？

……。
何か、思うところがあるんだろう。
それが何かは俺には分からないが。

お前はあいつのこと嫌いだろ？

関わりたくない。
俺を見つけたら大抵煽ってくるから面倒だ。
あまり人を好き嫌いするつもりは無いが、あいつは、嫌いだな。

トウヤに嫌われるなんて相当だぞ！でも俺はそこまで嫌いじゃないぜ！

どうして？

なんか同じ匂いがして。

匂い？(くんくん)

ガチの匂いじゃねーよ！嗅ぐな！

すみません！

ぼっち感？
なんてゆーかさあ、厄介者扱いされてるのって俺とダブるんだよな。
ほら俺死なないから生きてるけど、俺をよく思ってない奴らから嫌がらせとかされるわけだ。
普通の人間なら死ぬようなやつ。
嫌がらせってレベルじゃないけど。
将来そんな立場になっちまったらって考えるとちょっと同情するというかね。

なるほど……

……お前は意外と繊細なことを考えるんだな。

意外かよ。

他人の将来まで気にしていられない。
考える気も無いが。

まぁ、俺は自分の将来考えたって仕方ないし。

それもそうか。

デッドラッドさん、死なないって、どういうことですか？

文字通り、死なない。
不死ってこと。不老不死ってやつ。

ふ、不老不死！！？
そんなことがあるんですか！

現に俺がそうなんだよな〜
俺もいつから、なんで不老不死になったのか、理由は分からないんだけど。
死ぬ程痛い目遭って気絶しても、暫くしたら目が覚めんの。

ひえぇ、初めて聞きました……！
すごいです……！

うーん、凄いかどうか分かんねぇけど、人より怪我の治りが早いのは有難いかな。

な、るほど……

デッドラッドの能力は現地で確かめるといい。
お前も隊へ編成されることになったら、第一部隊に来る可能性もあるからな。

はいっ！
デッドラッドさん、色々教えてください！

おう、そういうの好き！
先輩風吹かしたろ！

ちゃんと教えてやれよ。
お前のことだけじゃなくて、戦い方をな。

分かってるよーぅ！

この件、どれくらい動員されるだろう。

できる限り詳細を総隊長に説明した。
その上で鑑みて人員を出すだろう。
総隊長からの任務だから、他の任務で隊の空きが出ないように手を回していたみたいだ。
その数がどれほどかは分からないが。

なるほど。
攫った犯人のタイプや人数が分からない以上、多種多様に揃えなければな。

そういうことだ。

今回ナンバーは呼ばれないだろうな〜
軍に誰もいないわけにはいかないし、クスケも残るって言ってた。

仕方ない。
捜索ならお前の方が長けてる。

おう！

お前たちの所は新しく来た者が隊長になったと聞いた。
第一部隊をまとめるとは、どんな手練だ？

外交部にいた。
ボルドーの隊だ。

……ボルドー。
あの男の元にいたとなれば頭はキレるだろうな。

総隊長に、魔女の森の者と話をつけて来いと言われたようなものだからな。
その方面の実力は確かなんだろう。

ならばそちらは応援不要か。

あー、いや、俺はイーリスの方につく。
今あいつは1人だ。
こないだ行動隊に来たばかりだからさすがに心配なんだ。
お前らを降ろして説明し終えたら、俺はすぐにそっちへ向かう。
お前たちは捜索に徹してくれ。

了解。

俺もイーリスんとこ行きてえなぁ〜

お前の索敵能力は捜索に必要だ、期待してるぞ。

んんー、分かったよぅ……

(扱いが上手いな……)

はわわ……先輩方かっこいい……、僕も戦況判断できるように頑張ります……っ

ああ、経験を積むといい。

はいっ！！

そろそろ着くが……ジャックは見当たらなかったな。




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